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引用可能性文書フォルダの効用

読書中に頁の角を折る人は多いと思う。線を引きながら読む人も多いと思う。4色ボールペンを活用するという人も決して少なくないと思う。しかし、私の読書術は実はここからがミソである。

私は毎日、帰宅して30分ほどをこれらの打ち込みに使うのだ。毎日毎日、べろべろに酔って帰宅しない限り、帰宅後の最初の30分を必ずこの作業にあてる。この癖というか習慣が定着して既に20年近くが経つ。

例えば今日(この原稿を執筆している当日)、私は内田樹の『街場のメディア論』を再読したのだが、帰宅した後、常に財布の小銭入れのなかに携帯しているフラッシュメモリーから、一太郎の「引用可能性文書・時系列版」というファイルを開き、次の文章以下12箇所ほどを打ち込んだ。

揺るがぬ真実であるのだが、自分の生身を差し出してまで主張しなければならないほど切実な真実ではない。これが「世論」の定義だと僕は思います。
〈『街場のメディア論』内田樹・光文社新書・2010.08.20 ・p102〉

この「引用可能性文書」は、9ポイント、明朝体フォントでA4判53字×50行に設定してある。この箇所を自分の文章に引用しようとするときにそのままコピペできるように、一つ一つに本のタイトル・著者・出版社・刊行年月日・頁数を記述する。写し間違いがないかを何度も確認することも怠らない。

もう一つ、「表現ぱくり可能性文書・時系列版」というファイルもあって、こちらには気に入った表現(つまり、緑色のボールペンで選を引いた箇所)を打ち込んでいく。もう少し裏話をするなら、「村上春樹の比喩」とか「内田樹のユーモア」とか「鷲田清一の味わい」といったファイルもあって、これら達意の文章家の表現を収集してもいる。

これらの時系列版の打ち込みは、一度打ち込んだら削除するということがないので、いま数えたら既にA4判で8千枚を超えているようである。この8千数百枚は私にとってまさに宝の山である。私はこの作業を自分の生活にルーティンとして位置づけた20年前の自分に深く感謝している。感謝しても感謝しても仕切れないほどだ。

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