ストレスを回避する日常
〈上機嫌〉でいるのは思いの外難しいものである。いつでもどこでもだれとでもとなると尚更だ。昨夜の夫婦喧嘩のイライラをすっかり忘れて教室に行ける人はまずいない。さきほどのクレーム電話の落ち込みを教室にもちこまないでいられる人もまずいない。しかし、〈上機嫌〉でいようと意識することはできるはずだ。努力することはできるはずだ。教室に入る前にちょっとだけ笑顔をつくってみる。教室に行く前にトイレでちょっとだけヘン顔をつくってみる。教室への階段を昇りながら少しだけ前のめりになって上を見てみる。意識してポジティヴな姿勢をとってみると、心も少しだけ浮上するものである。そしてその少しだけ浮上したあなたの姿は、何もせずイライラや落ち込みのまま教室に入っていくあたなの姿よりも、子どもたちにとってずっと良い影響を与えるはずなのだ。
もちろん、そうは言っても……というときはあるだろう。それはだれにだってある。でも、〈上機嫌〉であることが何よりも重要である、それも心からの〈上機嫌〉こそが子どもたちに良い影響を与えるのだということを意識するならば、自分を極力〈不機嫌〉から遠ざけようとする意識もはたらくはずである。イライラを回避するとか、落ち込みを最低限に抑えるとか、そういう意識がはたらくはずである。
また、自分はどんなときにイライラするのか、自分はどんな事象に落ち込みやすいのかといった自己分析にも目が向くはずである。自分で自分の感情をコントロールすることはできないが、ネガティヴな感情に陥りやすい事象をできるだけ回避しながら日常を過ごすことは可能である。〈上機嫌〉を職能の第一と考える在り方は、このようにストレスを避けようとする日常に向かっていく。精神衛生的にも効果があるわけだ。
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