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諸事記録の原理

私はいわゆる「メモ魔」です。メモというと一般に、「To Doリスト」や備忘録、講演メモ、情報発信するための構成メモなどが思い浮かぶと思います。しかし、私の言う「メモ」は少し違います。日常生活のなかで「これは使える!」と思うようなことを必ずメモするのです。しかも子どもとのやりとりや同僚とのやりとり、授業中の出来事や職員会議の揉め事など、良いこと・悪いことにかかわらず、「あっ、この出来事には何か発見がありそう」とか「あっ、この出来事には複合的な要因がありそう」とかと直感的に感じた事柄ついて、細かく手帳にメモをとるのです。私は「日々のエピソード記録」と呼んでいますが、まあ、ほとんど日記であると思っていただければそれほど大きくはずれないと思います。

こういう習慣がついて、もう十八年になります。十八年分もたまりますと、もうその手帳は学校教育に関して考えるべきことの宝庫です。私が原稿執筆に使うエピソードはすべて、この手帳に記録されている過去のエピソードから見つけたものなのです。

例えば、生徒指導のとき、子どもを追い込む場面。お前は何月何日にこういうことをしてこんなふうに反省の弁を述べた、何月何日にはこういうことを「もう二度としない」と約束した、何月何日には……とすべて挙げることができます。また、それを紙に書いてその子に示しながら、「ほら、最初は毎週のように指導されていたのに、ここは1ヶ月間空いてるだろ?そして今回は二ヶ月半振りの指導だよ。股間会もまた失敗はしちゃったけど、先生はお前が頑張っていないとは思っていないよ」などと、事実に基づいた説得力ある指導もできるようになります。

また、授業中のエピソードは、子どもたちの実態の把握にはもちろん、日々の教材研究や日々の授業技術の開発にとても役立っています。授業中に子どもが自分が想定していない、考えたこともない意見を言い出したとき、或いはできる子がちょっとした勘違いで大きなミスを犯したとき、グループ討議で一つだけ他のグループとは違った見解を示したとき、こうしたすべての出来事は実は分析に値します。職員会議の激論は、職員室の人間関係や力学、いろいろなタイプの教師のこだわりポイントを分析するための最高のネタを提供してくれています。職員室のチームビルディングを考えるうえで大切な大切な出来事なのです。

しかし、こうした出来事は、放っておくと二、三日も経てばなかったも同じになります。忘却の彼方へと去って行きます。このエピソード記録こそが私の仕事を充実させているのです。

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