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得意分野で貢献する

人には得手不得手があります。周りに合わせながら一つ一つ確実に取り組んでいくことを得意とする人もいれば、自分に自信をもって新しいことに挑戦していくことを得意としている人もいます。子どもが好きで子どもを包み込むように慈しむことを得意とする人もいれば、子どもを突き放し子どもに葛藤させながら成長させていくことを得意としている人もいます。こうしたキャラクターの違いに、それぞれの教育観の違いも加わって、教師といえども千差万別というのが実態です。

当然のことながら、低学年を得意とする教師もいれば、高学年を得意とする教師もいる、授業研究を得意とする教師もいれば、特別活動を得意とする教師もいる、そういう違いが生まれてきます。こうした違いは経験年数が10年に近づいた頃、ただがむしゃらにやっていた時期を過ぎて、30代になるかならないかというあたりで顕在化してくるものです。自分の向き不向き、自分の得手不得手といったものに自覚的になってくるのもこの時期です。

そうした時期に、「自分はこれが苦手だからダメだなあ…」と自己評価する人と、「自分はこれが得意だからこれを活かそう」と自己評価する人との間には、教師として決定的な差が生まれます。いえ、教師としてだけではなく、社会人として、人として決定的な差が生まれると言っても過言ではないでしょう。いつだって、だれだって、後ろ向きの人よりも前向きな人を好むものです。上司は前向きな人に仕事を頼みます。同僚も前向きな人に相談をもちかけます。子どもたちだって後ろ向きの教師よりも前向きな教師が好きに決まっているではありませんか。

よけいな仕事を抱えたくないから、上司に仕事を頼まれるのも同僚の相談に乗るのもごめんだ……などと考えてはいけません。教師としての成長は自分がしたことのない仕事に挑戦したとき、自分が考えたこともないことを考えてみるときに、著しい成長を遂げるものです。上司に頼まれる仕事を断ったり同僚からの相談を面倒に思ったりする教師は、実は知らず知らずのうちに自らの成長の機会を失ってしまっているのです。もちろん、自分のキャパシティを大きく超える仕事や相談を引き受けて自分が危うくなってしまってはいけませんが、自分が自分の限界だと感じることのちょっと上の仕事をしてみる、という心構えが人を成長させるのです。

さて、人間が明るく、前向きに取り組めるのは、何と言っても自分が好きなこと、得意なことをやっているときです。しかもそれが、自分自身のためだけでなく、子どもにも同僚の先生方など周りの人たちにも貢献していると実感されるときです。人は社会的な生き物ですから、自己満足だけでなく、それが周りからも評価され感謝されたとき、最もモチベーションが高くなるのです。

①得意分野については多少のオーバーワークは厭わない、②得意分野については頼まれたら断らない、30代にはこの二つを肝に銘ずる必要があります。30代はそれなりに仕事も見えてくるとともに、さまざまな学校事情も見えてくる時期です。その意味で、校内人事でも「なんでオレが…」とか「あの人に頼めばいいのに…」とかと思うことも少なくないはずです。

でも、その仕事の依頼が自分のところに来るのにはそれなりの理由があることなのです。管理職だって他に頼むところがないからこそ、あなたに頼んでいるのです。それだけ評価され、期待されているということの裏返しでもあるのです。ましてその仕事が初めての仕事であったならば、それは自分にとっても大きな成長の機会です。数年後の自分はおそらく、「あのとき断らなくて良かったな…」と思うはずです。いえ、そうしなくてはならないのです。そういう心持ちの連続が教師を、人間を成長させるのですから。

得意分野で徹底的に職場に貢献する。この姿勢を堅持していれば、実は不得意分野においては周りが助けてくれるようになっていきます。不得意分野においてだれかに相談したいと思えば、親身になって相談に乗ってくれる人が現れます。不得意分野でつまずいていることがあれば、手を差し伸べてくれたり丁寧に教えてくれたりという人が現れるものです。得意分野で前向きに仕事をすることは、実は不得意分野の克服にも生きるのです。

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