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上からも、下からも…

40代は、20代、30代と比べて自分の肩にのしかかる「責任」が違うのが特徴です。研究主任や教科主任、児童活動主任や生徒会指導主任といった、研究や子どもの活動を司る役職ではなく、学年主任や生徒指導主事、教務主任といった学年や学校を司る役職へと立場が移行していきます。子どもの活動や行事の取り組みについて最終決定をしたり、教育委員会に学校を代表して報告する文書をつくったり、他の教師にクレームが来れば一緒に家庭訪問をしたりと、自分の仕事だけでなく同僚の仕事にも責任をもちなくてはならなくなります。責任に押し潰されてしまう40代も決して少なくありません。

「責任」をもたねばならない立場になると、概して行政や管理職の指示の通りに動こうということになりがちです。力量がなかったり自信がなかったりといった人ほどその傾向に陥ります。上のお達しの通りに動いていれば、少なくとも自分の責任を深刻に問われるということを避けられるからです。自分の責任を回避することは楽でもあります。その結果、小さなことまで管理職に報告して指示を仰ぐという仕事の仕方になります。

しかし、自分のもとで働いている若手・中堅の立場から自分の仕事を見直してみることが必要です。どんな小さなことでも、「ちょっと待って。上に報告して指示を仰ぐから。」という人のもとで、「さあ、がんばろう」と思えるものでしょうか。自分が若かったときだって、そういう学年主任や教務主任を「頼りない」とか「保身だ」とか「指示待ち族だ」とかと感じた経験は少なからずあったのではないでしょうか。そして「主任クラスがこんな感じでは若手は育たない。」などと、同世代の同僚と呑みながら愚痴をこぼしていたのではなかったでしょうか。いつのまにか、自分が批判していたベテランと同じことをしている……そんな状態に陥ってはいないでしょうか。

もちろん、主任クラスは行政や管理職の考えていること、即ち「上からの要求」に応えることが何より大切です。何しろ学校経営に参画し、学校の基盤づくりの責任の一端を担っているわけですから、自分のわがままを通して学校の基盤を揺るがすわけにはいきません。しかし、自分が「上からの要求」を下に伝えるだけの伝書鳩になっていたり、自らの保身(自分が失敗しないこと)のために若手・中堅に無理な仕事の仕方を強制したり、若手・中堅のアイディアを取り上げなかったりしていたのでは、早晩、自分自身の仕事が立ち行かなくなっていきます。人間関係がギスギスし、同僚の信頼を失い、結果的に仕事がまわらなくなって管理職の信頼をも失ってしまう、ということになりかねません。「下からの要求」は「上からの要求」と同じくらい大切なものなのだと考えることが必要です。

私は主任クラスの仕事を、「上からの要求と下からの要求を調整すること」だと捉えています。若手・中堅の同僚たちが気持ちよく働ける環境を整えながらも、行政や管理職の求めていることを実現していく、そのためのアイディアを出し、実行していく、そういう仕事です。「責任」とはそもそもそういうことなのではないでしょうか。

「上からの要求」ばかり優先すると、自分のもとで働く同僚たちのやり甲斐を奪ってしまいます。それは職員室を沈滞させ、数ヶ月後の停滞を招きます。また、「下から要求」ばかりを優先して管理職の対峙すると、管理職が行政とあなたとの板挟みに遭い、管理職の先生方にあなたには想像できないような苦労をさせてしまうことになります。それは、場合によっては、学校が教育委員会からにらまれることを意味し、長い目で見ると、結局、学校のためにはなりません。

「上からの要求」を理解するとともに下にもそれをわかりやすく伝える。と同時に、「下からの要求」をよく理解したうえで、その現実を上に伝えるとともに対策を提案する。それが40代の仕事の在り方なのです。

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