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「まだ終わらない人」と確認せよ!

授業の基本構成を演習形式にすると、どうしても意見交流や作業学習が多くなっていきます。その際、全員の交流や作業が終わってから次に進むということを徹底しなければなりません。そうでないと、中途半端に打ち切られてしまった子どもやグループがどうしても消化不良になります。作業の遅い子は常に取り残されることにもなってしまいます。

何か活動を指示したときに、教師は次の子活動のことを考えているものです。教師だけが次の学習活動がどんなものかを知っていますから、教師はどうしても端役次に進みたい、子どもたちは満足するところまでこの活動を続けたい、そういう矛盾が起こります。教師が自分の思いを先行させて子どもたちの活動を打ち切ってしまうと、子どもたちの意欲が削がれます。作業の遅い子はだんだんと指示が出されても取り組まなくなっていきます。

この構造を打開するために必要なことは二つです。しかも、どちらもとても単純で簡単なことです。

一つは、意見交流や作業学習といった学習活動の前に時間を指定するということです。「これからこの場面で主人公がどう考えていたのかについて話し合ってもらいます。時間は8分です。始め!」とか、「これからこの文章から比喩が幾つ使われているかを見つけてもらいます。時間は5分です。始め!」というふうに、必ず学習活動の時間を事前に指定するのです。学習活動の時間を指定されれば、子どもたちにもその時間で取り組まなければならないという意識が働きます。

学習活動の密度を規定するのは、実は規模です。何字で書いても良い作文や何分しゃべっても良いスピーチ、時間指定のない意見交流は実は学習の密度を上げません。集中しなくても工夫しなくても、規模が無限ならそれなりに取り組めば良いからです。私たちだって授業は45分ことか50分とかと規模が決まっているからこそ、指導を工夫しようとするのではないでしょうか。私達の授業だって時間無制限ならただただ丁寧に……になるはずなのです。

さて、もう一つは交流や作業の時間がそろそろ終わりを迎えたところで、「まだ終わらない人」と確認することです。教師は何か活動に取り組ませると、「終わった人」「できた人」と確認する癖があります。だいたいの子どもたちが手を挙げたところで、「よし、終了」と判断してしまいます。しかし、それではまだ終わっていない子を置いてけぼりにしてしまいます。これではいけません。

「終わっていない人」「できていない人」と手を挙げさせるのです。そこで抵抗なく手を挙げることのできる国語教室をつくるのです。そして「よし。あと1分だけだよ。みんなもちょっと待っててね」と言って、1分後に打ち切るのです。これで間に合わなかった子も満足します。

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