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1時間の形成学力を一つに絞れ!

教師は欲張りなものです。新しい教材に入るにあたって教材研究をしていると、あれもできる、これもできると、何でも詰め込もうとしてしまいます。その結果、ついつい1時間の授業に形成すべき学力がたくさんあるという授業案をつくってしまいます。

子どもから見れば、あれもこれもと要求され、たいへんな1時間になってしまいます。教師の側から見ても、あれもやらなきゃこれもやらなきゃと忙しい授業になってしまいます。時間に追われ、どれも中途半端な指導になってしまうこともしばしばです。結局、1時間の授業を終えてはみたけれど、なんとなく焦点ボケ……なんてことも少なくありません。これではダメです。

皆さんはその日の1時間で何の勉強をするのかということを明確にして授業に臨んでいるでしょうか。

例えば、今日の1時間は副詞から登場人物の心情を読み取れるようにするとか、今日の1時間は文末から登場人物の気持ちの強さを読み取れるようになれば良いとか、こうしたレベルでの「その1時間で何の勉強をするか」です。「今日はナンバリングを使って400字作文を書けるようにする」とか、「今日は頭括法を用いて200字で自分の意見を述べられれば良い」とか、そういう1時間の指導目標です。「今日は説明文を三つに分ける観点を学べば良い」とか、「今日は芭蕉の句を五つ暗唱すれはそれでOKだ」とか、これについてだけは確実に全員を連れて行くという教師の明確な覚悟に裏打ちされた、その1時間の「絶対形成学力」のことです。

実は、教師の側にこうした明確な形成学力をもって臨む態度があれば、そしてそれをしっかりと子どもたちに伝えてあげさえすれば、子どもたちだって教師の意図をちゃんと汲み取り、「よし!今日はそれをマスターしよう!」となるのです。多くの国語の授業は、その1時間でマスターすべき明確な到達点が示されないがために、焦点ボケしてしまうのです。

その1時間で確実に全員に到達させる「絶対形成学力」を一つに絞る。これができたら、教師の授業は途端にすっきこりします。指導事項が明確になれば、教師にはその指導事項に絞った指導をしようという意識が働きますから、指導言にも明快さが生まれます。子どもたちにも一つ一つの発問・指示・説明がストレートに伝わるようになります。その1時間の評価の観点が明確化されますから、幾つかの関連した活動を繰り返すことによって、最後に子どもたちが理解できたか、できるようになったかを測るための活動を入れようとするようになります。そうすると、授業が構造化されてきます。

国語の授業では欲張りは禁物です。教師のあれもこれも主義こそが、実は授業をにごらせるのです。

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