ツイート六つ・4
19.「排除の論理」でものを考えないこと。すべての評価は相対的なものと心得ること。指導力不足教員さえ排除しないこと。彼らに必要なのは教えてあげることであって排除ではない。100人の指導力不足教員を排除したら、101番目から200番目が指導力不足を指摘されようになるだけだと心得ること。
【コメント】
人の評価は相対的なものです。絶対的に力量をもっている人がいないように、絶対的に力量のない人もいないのです。いま学級がうまく行っていない人は、たまたまいまうまく行っていないだけです。うまく行っている人は、たまたまいまうまく行っているに過ぎません。なのに自分がいまちょっと強者の立場にいるからいって、弱者を排除の論理で断罪する人がいます。僕はそういう人を見ると叩きつぶすことにしています。
20.頑張ることは大切だが、頑張りすぎてはいけないと知ること。自分に限界をつくってはいけないが、自分が無限だと思ってもいけないと知ること。だれもが完璧ではないが、可能性もまたもっていると心得ること。「完璧ではない」も「可能性がある」もともに大切にすること。
【コメント】
調子の良いときと悪いとき。人にはバイオリズムがあります。頑張りがきくときがあれば、きかないときもあります。バイオリズムが下がっているときには、無理をしないことも大切です。調子がよくなったときに、取り返せばいいのです。調子の悪いときに世話になった人たちには、調子がよくなってから恩を返せばいいのです。コンスタントに成果をあげ続け、常に成長し続ける人など、この世の中にはいないのですから。
21.いざというときには、仕事なんかどうにでもなると知っていること。心が折れそうになってどうしようもなくなったら、何もかも捨てて逃げ出すこと。強迫観念で働かないこと。自分のなかの自然と共存すること。哀しさや辛さや苦しさを、壊れてしまうまで我慢しないこと。
【コメント】
学校教育とは人工的な営みです。子どもは勉強することよりも、遊んだり、甘えたり、引きこもったり、おしゃべりしたり、眠ったりする方が自然なのです。子どもたちの自然を抑制し、人工的に社会に適応させようとするのが学校教育です。仕事も同じです。僕らはさぼりたいと思ったり、逃げたいと感じたり、そういう自然を抑制しながら人工的に仕事をしているのです。自分のなかの自然が悲鳴をあげたら逃げるのが当たり前なのです。
22.「健全な野心」をもつこと。いつか、あの人が見ているものを見てみたい。いつか、いま見えていないものが見える自分になりたい。地位や名誉ではなく、視野を広げ、視座を高くもとうと努めること。「不健全な野心」によって堕落せず、「健全な野心」を抱いて飛翔すること。
【コメント】
地位を得たい、名誉を得たい、こういうエネルギーを僕は「位置エネルギー」と呼んでいます。「位置エネルギー」はその位置に届いた時点でエネルギーを失います。自分の限界が見えた時点でエネルギーを失います。それに対して、成長したい、いま見えていないものを見てみたい、そういう衝動に駆られて動き続けるエネルギーを僕は「運動エネルギー」と呼んでいます。「運動エネルギー」にはゴールも限界もありません。
23.自分は発展途上であるとの自覚をもつ先達にこそ学ぶこと。直接逢って教えを請うこと。完成された先達、自らを相対化しなくなった先達など、出来上がった世界の住人からは間接的に学べば充分と心得ること。発展途上人のもつエネルギーこそが、発展途上人の躍動こそが自らに感化を与えてくれる心得ること。
【コメント】
発展途上にある人たちは「運動エネルギー」をもち続けている人です。完成された人たちは「位置エネルギー」を旨として生き始めた人です。完成された人は本で学べばいいのです。それよりも時間と労力とお金とを、発展途上の人たちの躍動に触れることにこそ懸けるべきでしょう。その方が発展途上の自分には必要だと心得るべきでしょう。もしかしたら、発展途上人と発展途上人の間に化学反応さえ起こるかもしれませんよ。
24.10年間、ただがむしゃらに取り組んでみること。10年の時を経ずに見えてきたものは幻想だと心得ること。試行錯誤から教育観がぼんやりと生成し、意図的に実践することでそれが教育論になっていく、その過程を経たものだけが身になるのだと心得ること。
【コメント】
僕はいまだに自分が10年以上にわたって考えていないことを公的に提案することをしません。思いつきなんて所詮思いつきです。人がやっていることのを見て、「それいいな」と試すというようなこともまずありません。人真似は所詮人真似です。とはいえ、思いつきも人真似も大切ではないと言っているのではありません。自分の頭で長い時間をかけて考え、自分の躰で何度も何度も試みることによって熟成させよと言っているのです。
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