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まえがき三つ

まえがき(「THE 発問」)

長く、授業づくりのキモは「発問づくり」だと言われてきました。ですから、授業づくりの研究会においても校内研究の指導案検討においても、発問が大事だと叫ばれ、発問がじっくりと検討されます。おそらく、このことに反対する教師はいないのではないでしょうか。

ただし、昨今、このことを前提としたうえで、ワークショップ型授業や協同学習、ファシリテーションの流行が、発問の質を大きく変えてしまっているようにも思えます。教材の内容から導き出した発問について深く考えさせる一斉授業の発問と、仮定の環境設定をしたりロールプレイを行ったりするワークショップ型授業の発問とでは、質の違いが出て当然です。

おそらくひと昔前とは知らず知らずのうちに発問の概念が変化してきているのではないでしょうか。変化しているというよりは、発問の概念自体が広くなっているのかもしれません。多くの研究授業を参観したり、多くの模擬授業を体験したりしていると、こうした傾向が急激に広がっているのを感じます。

本書では、20人の実践者に「発問づくり」の勘所を語っていただきます。それぞれに得意な教科を具体例に挙げていただき、実践的に語るなかで「発問づくり」の原理・原則、技術、心構えなどを提案していただきます。

本書が授業を充実させたいと願う若手教師の一助となれば、それは望外の幸甚です。

まえがき(「THE 指示」)

長く、授業づくりのキモは「発問づくり」だと言われてきました。ですから、授業づくりの研究会においても校内研究の指導案検討においても、発問が大事だと叫ばれ、発問がじっくりと検討されます。おそらく、このことに反対する教師はいないのではないでしょうか。

しかし、授業づくりの中心は確かに発問かもしれませんが、その授業を機能させるのは間違いなく「指示」です。何度も共同で検討された指導案なのに、その指導案を機能させられる人と機能させられない人がいるのは、まさに指示の差と言っても過言ではありません

授業は細かな指示の連続で展開していきます。しかし、多くの場合、学習指導案にはすべての指示が細かく記述されるということはありません。指導案検討を重ねたにもかかわらず、授業者が大きな失敗をしてしまうことが多いのも、検討に参加していた他の教師が想定していた〈指示の連続〉が授業者には伝わっていなかったことを要因とすることが多いように感じます。

本書では、20人の実践者に「指示」の勘所を語っていただきます。それぞれに得意な教科を具体例に挙げていただき、実践的に語るなかで「指示」の原理・原則、技術、心構えなどを提案していただきます。

本書がもっと授業を機能させたい、授業を充実させたいと願う若手教師の一助となれば、それは望外の幸甚です。

まえがき(「THE 説明」)

長く、授業づくりのキモは「発問」だと言われてきました。また、授業の機能度を高めるのは「指示」だと言われてきました。おそらく、多くの授業づくりはこの共通認識のもとに行われています。 

しかし、誤解を怖れずに言えば、授業づくりで最も大切なのは「説明」です。その証拠に、「発問」のない授業、「指示」のない授業はあり得ますが、「説明」のない授業は絶対にあり得ません。昨今流行を示しているワークショップ型授業やファシリテーション型の授業においても、授業の開始時には「インストラクション」という名のかなり長い「説明」が施されるのを常としています。

しかし、ひと言で「説明」と言っても、その「説明」の内容には実にさまざまなものがあります。子どもたちにとって未知の教材を説明するのも「説明」ですし、学習活動の取り組み方や段取りを説明するのも「説明」ですし、この学習がなぜ必要なのか、将来どんなふうに生きるのかという価値を説明するのも「説明」です。

本書では、20人の実践者に「説明」の勘所を語っていただきます。それぞれに得意な教科を具体例に挙げていただき、実践的に語るなかで「説明」の原理・原則、技術、心構えなどを提案していただきます。

本書がもっと授業をわかりやすくしたい、もっと価値あるものにしたい、もっと充実させたい、そう願う若手教師の一助となれば、それは望外の幸甚です。

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