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二つの学習意欲を喚起せよ!

「学習意欲」というと、だれもが「初発の動機づけ」をイメージします。

理科の授業でドラム缶がぼこぼこに変形したり、液体窒素で凍ったテニスボールが床に落とすと粉々に割れたり……。算数の授業で現実的な場面が設定されてクイズのように出題されたり、先生が一見難しそうな問題を瞬時に解いてしまったのを見て、子どもたちが「えっ?なんでそんなことができるの?」という表情をしたり……。

いずれにせよ、「初発の動機づけ」は子どもたちにとって、授業に意欲的に取り組むためのむ原動力になります。したがって、教師は「初発の動機づけ」に腐心します。なんとか授業の冒頭で子どもたちの心を鷲づかみにできないかと。

しかし、皆さんはこんな経験をしたことがないでしょうか。

「初発の動機づけ」は成功した。子どもたちも目を輝かせていた。しめた!と思った。最初は輝いていた子どもたちの目も、授業が進むにつれてなんとなく曇ってくる。次第に集中力のない、落ち着きのない子から脱落し始める。いよいよ、授業の山場という頃には、その指導事項の難しさに教室の4割が脱落している。教師はあんなに一生懸命に考えた指導案なのに……とがっかりする。やっぱりうちの学級の子どもたちは集中力がないのだ。隣の学級はそんなことないのに……。やっはり、自分の指導がダメなのだろうか……。自分に力量がないからなのだろうか……。

ダメと言えばダメですし、力量がないと言えば力量がないと言えるかも知れません。「学習意欲」を「初発の動機づけ」のみで捉えているからこういうことが起こるのです。  実は、「学習意欲」は二つの観点から考えなくてはなりません。一つは「初発の動機づけ」、つまり、これまで述べてきたように、授業冒頭での「学習意欲の自発性」です。  しかし、授業は時間が長いのです。いくら授業の冒頭で激しく意欲が喚起されたからと言って、子どもたちが45~50分もの間、その喚起された学習意欲を維持して目を輝かせ続けると考えるのはナンセンスです。

そんなことは大人にだって無理です。そもそも、あなたにも無理なのではないですか?最初はおもしろそうだと思った講演が、途中から眠くなって来たという経験、あなたにもあるのではありませんか(笑)。

そう。「学習意欲」のもう一つは、喚起された「学習意欲の持続性」なのです。教師は「初発の動機づけ」だけに腐心するのではなく、その喚起された意欲をどのように持続させるか、つまり、喚起された意欲に「適度な刺激」を与え続けるということを同時に考えなければならないのです。子どもたちの集中力を途切れさせない授業には、実はこの「適度な刺激」が準備されているのです。

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