堀裕嗣のツイートを読み解く
来年の初夏になると思いますが、『堀裕嗣のツイートを読み解く』
1.教師に必要な資質。第一にいつも笑顔でいること。第二に孤独に耐える力をもつこと。第三に無駄を大切にすること。第四に必要なときに馬鹿になれること。第五にいつでも変われること。いまを壊し、新しい自分になるのを怖れないこと。
2.いつも笑顔でいること。どうしたら笑顔でいられるかを基準に毎日の生活を見直してみること。何があれば、どんなストレスがなければ笑顔でいられるのか、それを真剣に考えてみること。笑顔でいられない自分と向き合ってみること。
3.孤独に耐える力をもつこと。流されている自分と向き合うこと。対立しない自分と向き合うこと。対話に臆する自分と向き合うこと。孤独に陥ることを怖れずに、必要な自己主張をすること。
4.無駄を大切にすること。無駄の積み重ねから有効性が導かれることがある。意味を求めすぎないこと。無意味の積み重ねが意味を産み出すことがある。この二つを経験則として血肉化すること。
5.必要なときに馬鹿になれること。ちっぽけな自意識からも、つまらない自意識からも、過剰な自意識からも解放されること。周りの人たちとの力学を見極め、自分を座標上のドットと位置づける視座を忘れないこと。自分が相対化されるような地図をもつこと。
6.いつでも変われること。いまを壊し、新しい自分になるのを怖れないこと。自信をもつこと。いまを壊せないのは知らない世界に行く自信がないから。新しい自分が経験するであろうことに対応できる自信がないから。自信のないから現状維持を好むのだと知ること。
7.怒鳴る教師にならないこと。怒鳴る指導の果てには堕落しかないと肝に銘ずること。怒鳴らずに同じ効果をあげる指導はないかと常に考える続けること。ためしてみること。成果と課題を整理すること。怒鳴るのは自分が楽だからだと自覚すること。
8.自分にできないことを何かを自覚すること。自分にできることを中心に考えるとエゴイズムに陥りやすい。自分にできないことを常にセットで考えること。できないことをやろうとして途中で投げ出すと、最初からしなかったときよりも他人を傷つけることになる。これを肝に銘ずること。
9.教室で起こるハプニングにうろたえないこと。教室はハプニングが起こることにこそ本質があるというゆったりした構えをもつこと。ハプニングを起こさない子どもはもはや子どもではなく、ハプニングにあふれ、ハプニングのしたたる教室こそが正常だと意識すること。
10.教師は「教え方」以上に「在り方」が問われるのだと自覚すること。それも腹の底から実感すること。自分の「在り方」を点検し続けること。常に「まだまだだ…」と謙虚に構えること。常に「もっと、もっと」と貪欲になること。謙虚と貪欲を融合すること。それを生涯の「在り方」とすること。
11.自分だけで走りすぎないこと。力量のある教師の陰に、その教師と比較されることで必要以上に苦労する教師がいることに配慮すること。教育技術を学ぶと同時に、周りへの配慮をも学ぶこと。必要なのは「優しさ」と「技術」であると心得ること。
12.自らを過信しないこと。世の中に「絶対」などないと知ること。しかし、「絶対などない」という論理も「絶対」ではないと知ること。もっと遠くへ。もっと高次へ。その志向性だけが謙虚と貪欲を融合させるのだと知ること。そしてそれさえも人それぞれに道があるのだと心得ること。
13.一人ひとりの違いを認めること。子ども同士の違いを認めるだけでなく、職員同士の違いも認め合うこと。自分の異なった仕事の作法を認め、他人の作法のなかにある神髄を学ぶこと。長い年月をかけて学びを有機的に結びつけること。そうすれば、自分のなかに、いずれ「思想」が形成されていく。
14.他人を肯定的に見ること。子どもも保護者も同僚も肯定的に見ること。肯定的に見られないなら、肯定的に見られるように努力すること。努力し続けること。次第に努力しなくても他人を肯定的に見られるようになっていく。その段階になって初めて見えるものがある。その境地に憧れを抱くこと。
15.他人に認められること。周りが認めてくれないのではなく、周りが認めてくれるような人間になっていないのだと自覚すること。「あの人が言うなら仕方ない」と思ってもらえるような人間を目指すこと。スキルを持った「人材」ではなく、威厳をもった「人物」こそを目指すこと。
16.子どもに任せてみること。同僚に委ねてみること。他人に「お任せします」と委ねてみること。何もかも自分でやろうとしないこと。一人でできることなど限られていると自覚すること。一人でできると思うから失敗するのだと心得ること。朗らかに、和やかに、協働で創り上げる意識をもつこと。
17.楽しい雰囲気をつくること。人は楽しい雰囲気のなかにいるときに最も成長するのだと知ること。この点については、子どもも大人も変わらないのだと心得ること。楽しさのなかで成長を実感したとき、人はそれを「充実」と呼ぶ。人は老若男女にかかわらず、だれしも「充実」を求めているのだと心得ること。
18.「つくられた楽しさ」を求めないこと。不意に気づく、ふと振り返る、思わず声を上げる、そんな「不意」「ふと」「思わず」をしなやかに創り出すこと。子どもたちに「適度な抵抗」を与え、それを確実に「乗り越えさせる」こと。ただし、絶対に手だけは貸さないこと。
19.「排除の論理」でものを考えないこと。すべての評価は相対的なものと心得ること。指導力不足教員さえ排除しないこと。彼らに必要なのは教えてあげることであって排除ではない。100人の指導力不足教員を排除したら、101番目から200番目が指導力不足を指摘されようになるだけだと心得ること。
20.頑張ることは大切だが、頑張りすぎてはいけないと知ること。自分に限界をつくってはいけないが、自分が無限だと思ってもいけないと知ること。だれもが完璧ではないが、可能性があると心得ること。「完璧ではない」も「可能性がある」もともに大切にすること。
21.いざというときには、仕事なんかどうにでもなると知っていること。心が折れそうになってどうしようもなくなったら、何もかも捨てて逃げ出すこと。強迫観念で働かないこと。自分のなかの自然と共存すること。哀しさや辛さや苦しさを、壊れてしまうまで我慢しないこと。
22.「健全な野心」をもつこと。いつか、あの人が見ているものを見てみたい。いつか、いま見えていないものが見える自分になりたい。地位や名誉ではなく、視野を広げ、視座を高くもとうと努めること。「不健全な野心」によって堕落せず、「健全な野心」を抱いて飛翔すること。
23.自分は発展途上であるとの自覚をもつ先達にこそ学ぶこと。直接逢って教えを請うこと。完成された先達、自らを相対化しなくなった先達など、出来上がった世界の住人からは間接的に学べば充分と心得ること。発展途上人のもつエネルギーこそが、発展途上人の躍動こそが自らに感化を与えてくれる。
24.10年間、ただがむしゃらに取り組んでみること。10年の時を経ずに見えてきたものは幻想だと心得ること。試行錯誤から教育観がぼんやりと生成し、意図的に実践することでそれが教育論になっていく、その過程を経たものだけが身になるのだと心得ること。
25.「わかったつもり」に陥らないこと。一般に、経験を重ねると主張はシンプルになっていく。それゆえ、先達の主張にはシンプルなものが多い。しかし、それは長年にわたって複雑な思考を通ったからこそ到達したシンプルさであると心得ること。自分がそれを理解するには数十年かかると心得ること。
26.若者よ、小さくまとまることを目指してはいけない。この程度で良いと線引きしてはいけない。飢えろ。もっと飢えろ。高みに飢えろ。自分にもできることではなく、自分にしかできないことを目指せ。飢えろ。もっと飢えろ。明日の自分に飢えろ。明後日の自分に飢えろ。
27.まず量をこなせ。量を蓄えよ。質はあとからついてくる。若いうちはがむしゃらに10年走ってみることだ。10年走ったら質は何かが見えてくる。それが見えたとき、初めて質を追っていい。僕はそう教えられた。正しいか否かはわからない。ただ、僕には合っていた。師匠に心から感謝している。
28.肩の力を抜かないと見えないものがある。自分をかっこよく見せようとか、失敗したくないとか、他人に負けたくないとか、そんな思いが肩に力を入れさせる。自分の上昇ばかり考えるから見えないものがある。自分の維持ばかり考えるからできないことがある。肩の力を抜くことに慣れると世界が変わる。
29.失敗する自分を愛せるようになったら天職。失敗する自分を愉しめるようになったら一流。
30.人生の岐路に立ったとき、仕事上の判断に迷ったとき、先の見通せる方を選ぶのが「成功」のコツ、先の見通せない方を選ぶのが「成長」のコツ。すべての人に問いたい。「成功」と「成長」。あなたはどちらを選びますか?
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 「結びつき」の強いクラスをつくる50のアイデア(2016.03.11)
- 著作一覧(2016.03.05)
- 『若手育成 10の鉄則・100の言葉がけ』(2016.03.05)
- 国語科授業づくり10の原理・100の言語技術 義務教育で培う国語学力(2016.03.05)
- 「THE 教師力」シリーズ関連(2016.12.31)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント