THE 教師力 ~若手教師編~
『THE 教師力~若手教師編~』堀裕嗣編/THE 教師力編集委員会著/明治図書
執筆者:飯村友和/伊藤慶孝/今井清光/桔梗友行/金大竜/白井
まえがき
本書は「THE 教師力」と題して様々な論客にその概念を語ってもらおうという企画を思いついてから、既に10年近くが経った。様々な教育運動が一つの主張を広めることに腐心しているのを見るにつけ、また、そうした教育運動同士が対立し合い、次第に互いの交流を回避するようになるを見るにつけ、「それではいけない。教育界は常に多様性が担保されなければならない。」との思いを強くしたからである。今回、明治図書の及川誠さんがこの企画に賛同してくれたことにより、やっと長年の志を形にすることができたことに、ある種の感慨を抱ている。
本書は既に教育界に名を馳せたベテラン実践者・研究者にご執筆いただいた前巻と同趣旨で、執筆を新進気鋭の若手教師陣に依頼したものである。若手には若手に相応しい教師力があり、中堅には中堅に相応しい教師力がある。長く教職を経験した者たちの提案ばかりが必要なのではない。それがこの世界の特徴である。
先般、同じく及川誠さんのお力を借りて、「エピソードで語る教師力の極意」という10冊シリーズを刊行した。教師が力量を高めていくうえでせ参照とすべきは、一つは先達の人生に鑑みながらその思考法・発想法を学ぶことであり、いま一つは教育界に流布する概念について多様な人たちの論理を比較読みすることだと考えている。本書は後者の発想を色濃くもつものである。読者の力量形成に少しでも寄与するなら望外の幸甚である。
あとがき
「教師力」という語が世間に流布して10年を迎える。学級崩壊、保護者クレーム、指導力不足教員、不適格教員などをはじめとして、教師の力量が社会問題化するなか、朝日新聞がこの語をつくって以来、この語が用いられるようになった一定の効果もあったように思う。ただし、マスコミでは、様々な事件、様々な問題が起こるなか、この語が都合よく使われてきたという感がある。
いま、16人の若手教師たちの「教師像」を読み終えて、感慨を抱いている。実はこのあとがきを書いているのは第1・2巻共通の初校段階でのことだ。その関係で本書の原稿を読んだのは第1巻を読み終えた直後のことである。第1巻の原稿には執筆陣の人生が垣間見られる思いがしたのに対し、正直、この第2巻の原稿には第1巻にあった深みはない。しかし、その代わりと言ってはなんなのだが、成長の渦中にある者の勢いというか、悩んでいるからこそ醸し出されてくる説得力というか、そうした勢いや説得力の匂い立つ原稿が揃ったように感じている。私はよく、「発展途上人にこそ学ばねばならない」と言うのだが、本書はまさにそれを具現した書となった感がある。
突然の執筆依頼を快くお引き受けいただいた執筆者の皆さん、そしてこの「THE 教師力~若手教師編」という奇妙な企画を形にしてくれた及川誠さんに感謝申し上げる。
My Little Lover/Hello Again を聴きながら
2013年6月25日 自宅書斎にて 堀 裕嗣
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