先回り
今日の〈TO DOリスト〉を見てみましょう。PC画面に出ているものでも良いですし、手帳でも構いません。えっ? 付箋で処理して終わったものから捨てているから用意できない? あなたには教師としての計画性がありません。えっ? 〈TO DOリスト〉がない? つくったこともない? あなたは教師である以前に、社会人失格です。こんな本を読む前に、日常の仕事の仕方を見直して下さい。あなたは周りの先生方に、特に教務部の先生方にとてつもない迷惑をかけ続けているはずですから。
さて、〈TO DOリスト〉を御用意した皆さんへ。
今日の仕事を今日やっていませんか? 今日の仕事としてリストアップされているのは、ほんとうに今日じゃないとできない仕事でしたか? 昨日やっておけば今日はずいぶん楽ができたのではありませんか? まずは、今日の〈TO DOリスト〉に載っている仕事を、今日でなければ絶対にできない仕事と昨日でもできた仕事とに分けてみましょう。
いかがでしょうか。その昨日でもできた仕事をもしも昨日のうちに仕上げていたとしたら、今日という日は時間的にも精神的にもずいぶんと余裕のある一日になっていたのではありませんか? 仕事をしなければならない日と締め切りの日は違うのです。締め切りとはその日にする仕事ではなく、それ以前にする仕事を表しているわけですね。
さて、次です。いまリストアップした昨日でもできた仕事を、昨日でなければできなかった仕事と一昨日でもできた仕事に分けてみましょう。それが終わったら、一昨日でなければできなかった仕事と1週間前でもできた仕事とに分けてみましょう。もっともっと、以前へ以前へと進んでみましょう。 実は学年会議や職員会議で提案された時点で、すぐにでもできた仕事というのがいくつかあるはずです。そうです。仕事というのは、実は様々な会議で提案されているわけですね。
また、授業準備系の仕事もいくつかあるはずてす。教材研究やワークシートづくり、それってもしかしたら長期休業中にできたことなのではありませんか? 授業は生き物だから直前じゃないと準備できない? 馬鹿を言っちゃあいけません。それは十年以上のベテランが言うべき言葉なのです。あなたのような今日明日の授業にあっぷあっぷしている教師が言うべき台詞ではないのです。そもそも長期休業中に作っておけば、直前になったときの微修正・微調整だけで済んだのではありませんか?
前節を嫌みと皮肉で構成しました(笑)。
要するに、私の言いたいことは、授業づくりにおける大きな準備は長期休業中にする、毎日の細かな事務仕事はだいたい1週間後の仕事を目処に取り組む、こういうスタンスで仕事をしていれば突然入ってきた生徒指導やトラブルにも対応できますよ、ということです。
突然降って湧いてくるのは仕事ばかりではありません。急に先輩教師に飲みに誘われる。自分の身内や友人の身内に不幸があって、通夜に出席しなければならなくなった。社会人にはこういうことが少なくありません。こうしたときに次の日の仕事が滞るのはまずいでしょう。
長期休業中に授業準備がほぼ終わっている、1週間後の仕事に取り組む癖がついている、日々をこうした状況で過ごしていれば、自分の親が亡くなって1週間の忌引きをとるというのでない限り対応できます。こういうふうに1週間後の日程を見ながら仕事をするのが「先回り」のコツなのです。
では、こうした仕事の仕方はどうしたらできるようになるのでしょうか。それは会議への参加の仕方で決まります。その会議に参加するのと同時並行で、仕事内容をリストアップしてしまうのです。
例えば、職員会議では次の月の行事予定が必ず提案されるはずです。教務主任のその提案を聞きながら、同時に手帳に自分が参加しなければならない会議、自分が参加しなければならない行事はもちろん、そうした会議や行事に伴う準備日程まで書き込んでしまうのです。また、職員会議では各部から様々な提出文書の期限やその行事の時間を追っての動きなどが提案されるはずです。それも次に次にメモします。
学年会や校務分掌会議などにおいては、自分の担当についてもっともっと細かい動きが提案されるはずですから、それも逐一メモします。子どもや保護者との約束はもちろん、友人との約束でさえ、その場でメモします。業者や出先に電話連絡をしなければならない場合には、その予定がわかった瞬間に電話番号やFAX番号とともにメモします。
こうした仕事の仕方をしていれば、できることからどんどん仕事を片付けていこうとする習慣を自分自身につけていくことができます。要するに、仕事を〈日程〉と〈時間〉でするようになれるのです。仕事に〈追いかけられる〉のではなく、仕事を〈追いかける〉ようになれるのです。
若いうちにこの感覚をつかむことは、一生の宝となります。時間に追われることなく、時間を生み出せるようにさえなっていくものです。
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