1.教師は子どもたちに対して「変われ」と言い続ける職業です。知識を持たない子どもに知識を持つことを強い、技能を持たない子どもに技能をもつことを強い、もっと思いやりを、もっと責任感を、もっとリーダーシップをと際限なく「変われ」と強い続ける、それが教師という職業です。しかし、このことに自覚的な教師はなかなかいません。
2.子どもたちには「変われ」と命じ続けているのにその自覚をもたず、自分はいつまでもたいして根拠のない「自分」に留まり続けようとする、それが多くの教師たちの姿です。そのスタンスが職員室でもはびこり、他人に変わることを要求するのに自分は変わろうとしない、その構図によって起こる軋轢のなんと多いことでしょう。
3.人間が大きく変われるのは三十代までです。教師に限りませんが、職業人としては二十代・三十代が往路、四十代・五十代は復路にあたります。往路で「いつでも変われること」が資質として身につけば四十代・五十代も成長し続けられますが、そうでない場合は往路の貯金を切り崩す復路を過ごさねばなりません。往路において大転換はあるものだということを学べば、復路においてもその構えをもって仕事に対することができるのです。
4.一般に学校組織において、若手教師に求められるのはうまくやることではありません。そつなくこなして安定することでもありません。言わば、ぐんぐん成長することです。教師というものは、基本的に人が成長するのを見るのが好きなのです。力量の高い若者よりも、失敗してもいいから前向きな若者が好まれます。それが、どうしようもない教師の性(さが)です。あなたが若手教師であるなら、成長を拒まないことが大切です。
5.人は成長するとき、言わば「勝手に成長していく」ものです。自分自身の頭で考え、自分自身の嗜好に沿って、様々なものから様々に学んでいく、そういう成長の在り方こそが「成長」の名に値します。
6.しかし、その「勝手に成長していく」ための前段階として、「成長のための基礎体力」というようなものが必要なのです。大学で本格的に研究に取り組み、自力でものを考える習慣がついているというのなら別ですが、多くの若者たちはそういう習慣を身につけてはいないものです。ですから、すべての上司はオン・ザ・ジョブ・トレーニング(以下「OJT」)でその「成長のための基礎体力」をつけてあげなければなりません。それが若者を部下にもったときに第一に取り組まなければならないことなのです。私はそう考えています。
7.先輩教師や管理職の言うことをよく理解することは、先輩教師や管理職の言うことにただ従うことを意味しているのではありません。そんなことなら、成長していない教師にも簡単にできることです。上司にただ従うことは、自分の行動の責任を上司に押しつけることであって、自分の責任を回避することでしかありません。すべてがそうとは言えませんが、少なくともそうした側面があります。
8.私が言っているのはそういうことではなく、先輩教師や管理職がなぜそういうことをあなたに言うのか、その指導の裏にある「思想」を理解せよということです。そしてその「思想」を理解し、現実的な仕事の仕方について、その「思想」と「手立て」とをセットで考えられるようになったとき、初めて「成長のための基礎体力」が身についたと言えるのだと主張しているのです。ここを勘違いしないでください。
9.いま、TWITTERでこういう質問を受けました。
「その上司が「成長していない教師」である場合には、その「思想」を理解すべきですか?」
私は次のように答えました。
「すべきです。その思想と手立ての関係を反面教師にすれば良いだけです。ダメな上司をキャンセルする人間はそのダメな上司と同じことになります。そういう質問をすること自体、その危険性があるので気をつけてください。すべては成長の糧になります。」
こういう人が最もダメなのです。上司をただキャンセルしてるんですね。しかも自分がその上司とは違うと思っている。自分を安全地帯に置いて物事を発想している。こういう人間を僕は否定しているのです。私に言わせれば、こういう発想が思い浮かんでしまうこと自体、この方には「成長のための基礎体力」がないのです。
10.山田洋一くんとの共著で若手教師への成長の指針を書いています。その第1章と第2章を完成させました。あとは第3章として10頁ほどを書くだけです。今日中に完成しそうです。山田洋一くんはプレッシャーを感じてください(笑)。
11.いえ~い!共著原稿完成今日はこれからゆっくりするぞい。
山田くん、プレッシャーを感じてください(笑)。
美南ちゃん、やっぱり頼りになるのは山田じゃなくて、堀なんだよ。はっはっは……。
12.ここ半年ほど、学事出版に対してあまりにも不義理を働いているので、これから2~3ヶ月かけて学事の本を2冊書きます。明治図書の編集者の皆様、あしからずご了承ください。ここしばらくは「THE 教師力」シリーズと「研究集団ことのは」の共著だけで勘弁してください。夏からはまた頑張りますから。
13.さあて。「相棒」の続きを見なくちゃな。ここ1ヶ月ほどサボッてたから、やっと続きを見てもいいかなという気分になってきた。好きなドラマもあまりにも連続して見過ぎるといやになるということを腹の底から実感させられた。
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