ヒラメキ
そうか!そういうことか!
なるほど…。こうすればいいんだ。
だれしも自分のヒラメキに大きな喜びを感じた経験があるものです。それが重要なものであればあるほど、喜びは大きくなります。そしてそのヒラメキが自分の教師人生を豊かにしていきます。
では、重要なヒラメキとはどういったときに得られるのでしょうか。もしもそれがわかれば、私たちの人生は教師人生はもっともっと豊かになるのではないでしょうか。そうは思いませんか?
さて、私の経験から言うと、ヒラメキとは二つのこと、或いは二つ以上のことが結びつくことです。例えば、全く関係がないと思っていたAとBという二つの事柄の間に同じ構造があったと気がついた。例えば、いま目の前にいるCくんにどう対応しようかと考えあぐねているうちに、3年前のDくんへの対応と同じようにしてみてはどうかと思いついた。例えば、Eさんがなぜこんなことをするのかどうしてもわからないと思っていたのが、自分がEさんの立場だったらどう考えるだろうかと視点を変えてみたら、「もしかしたらEさんは……」と合点がいった。ヒラメキとはこんなふうに瞬間的にわき起こるものです。
とするならば、常に二つのことを同時並行的に進めていくことを意識しながら日常生活を送れば、ヒラメキが得られるチャンスはそれだけ生まれやすくなる、ということです。
実は私は、毎日、三回から五回くらいヒラメキを得ているという実感があります。毎日毎日、心の中で「おっ!」とか「なるほど!」と思うことが何度もあるのです。また、月に二度くらいは、「おおっ!」と思わず声に出してしまうようなヒラメキを得ています。こういう言い方ではわかりにくいでしょうからたとえ話でいうと、毎日、三つから五つくらいは4頁程度の雑誌原稿くらいにはなりそうな発見をし、毎月、二つから三つくらいは本1冊くらいは書けそうな発見をしています。要するに、私はヒラメキの毎日を送っているわけですね。
なぜ、私がそんなにもひらめくことができるのかというと、日常的に二つ(以上)のことを同時並行的に進めていくということを習慣とし、生活そのものとしているからです。
例えば、私は読書好きで、日常的に本を読んでいますが、常に5冊の本を同時に読んでいます。具体的には、①書斎で読む本、②家のトイレで読む本、③ベッドで寝る前に読む本、④常に鞄に入れて持ち歩いている本、⑤学校に置きっ放しにして朝読書の時間やちょっとした隙間時間に読む本、と5種類の本を常にシステマティックに読んでいるのです。しかも①は学術書、②は苦手な分野(理数系)の新書、③は小説、④は文庫、⑤は教育に活かせそうな新書、と本のジャンルまで意識しています(もちろん、明確に分かれているわけではありません)。
こうした生活を送っていると、トイレで読んだ理数系の原理と人と待ち合わせしていたときに読んだ文庫本の内容が重なって見えてくるとか、学校で読んだ教育に活かせそうな原理とベッドで読んだ小説のエピソードが同じ構造だったとか、そういうことに気づく機会がたくさん生まれてきます。ある本で読んだ内容とある本で読んだ内容とが、ちょうど正反対のことを言っているなんていう事例に出逢うこともできます。そうした気づきは、あなた独自のヒラメキとして、必ずあなたの教師人生を豊かにしてくれます。
そうしたヒラメキを得られたら、前に「アンテナ力」で述べたように、そこで得た視点で、子どもたちや学校の一つ一つの仕事を見直してみるのです。きっと更なる発見があるはずです。
また、例えば、私は刑事物のドラマがとても好きなのですが、「相棒」を見た次の日は、学校で見聞きする一つひとつの事柄を「杉下右京だったらこれをどう捉えるか」という風に意図的に考えるようにしています。時代劇を見た次の日には、「もしもこの出来事が江戸時代だったら、何がどう変わるだろうか」なんてことを考えながら一日を過ごします。
私の言いたいことが、もうおわかりかと思います。日常生活を過ごしながらも日常にどっぷりとは浸からない。常に視点を変えて見てみる。或いは、常に相互に関係のない情報に触れてみる。意識的に自分をそういう状態に置く。それが私のヒラメキ力アップのコツであるわけです。
ヒラメキとは、二つのこと、或いは二つ以上のことが結びつくこと。私の言う意味をご理解いただけたでしょうか。こうした「視点を変える」というものの見方、それに伴う思考は、数ヶ月から1年程度続けると、もうそういう見方、考え方が癖になるものです。そうなればしめたものです。発想が豊かになり、おもしろいほどにアイディアが浮かんでくるようになります。信じられないかもしれませんが、そういうものなのです。
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