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明日、学校に行ったら、一日にいくつの「?」を感じたか、数えてみましょう。しかもできるだけ「?」を感じようと思いながら、一日を過ごしてみましょう。子どもへの「?」、同僚への「?」、管理職への「?」、保護者への「?」、そして何より自分への「?」。……。

人はわがままなもので、他人への「?」はいっぱい浮かぶのに、その「?の矢」をなかなか自分に対して向けないものです。でも、子どもたちに接しているのは自分、同僚と接しているのも、保護者と接しているのも自分です。他人はなかなか変えられませんが、自分を変えることは……どうでしょう? 確かに難しいけれども、他人を変えることよりは可能性があるのではないでしょうか。

私は他人に対して抱く「?」は、すべて自分への「?」への触媒だと考えています。

例えば、同僚によく子どもを怒鳴っている先生がいるとします。それを見て、「どうしてあの先生は子どもたちを怒鳴ってばかりいるんだろう?」と感じます。そして、その先生に対して何となく批判的な感情を抱きます。

しかし、そこで、「?」を自分に向けて考えてみるのです。

「自分はどうして、子どもを怒鳴ることがいけないと思うのだろうか……」

すると、いろんなことが浮かんで来るはずです。

例えば、子どもの頃、先生に怒鳴られたことをきっかけにその先生が嫌いになったこと……。でも、それなら、自分は子どもたちに好かれたいということなのだろうか。そのために子どもに迎合していることはないだろうか。こんなふうに思考を進めてみるのです。

例えば、ついこの間、クラスのある子を怒鳴ってしまったこと……。そういえば、あの日の朝はなんとなく体調が優れなくてイラついていたっけ。体調が悪い日は気をつけなくちゃな。こんなふうに内省してみます。

例えば、自分は人生において一度も怒鳴られたことがないこと……。だから自分も絶対に子どもを怒鳴らない教師になるんだ。じゃあ、他の先生が怒鳴っている代わりに、自分はどんな指導ができるんだろう。あの先生が怒鳴っている子を自分が指導するとしたら、どんなふうに指導すればいいんだろう。こんなふうに想像してみるのです。

もう一度繰り返します。明日、学校に行ったら、自分がいくつの「?」を感じたか、数えてみましょう。そしてその「?」を、他人に向けるだけでなく自分にも向けてみたか、自分を振り返ってみたか、考えてみましょう。

明日見つけた自分への「?」は、すべてノートにメモしておきましょう。そして明日の夜、寝る前にちょっとだけ、そのいくつかの「?」について思いを馳せてみましょう。

きっと「?」を感じてメモしたときから数時間が経って、少し冷静に自分を振り返ってみることができるはずです。そして、その自分のこだわりが確信のもてるものであれば明日もまた続けるのです。自分が直した方がいいかもと感じることなら、明日は今日より少しだけそれを意識しながら子どもたちに接してみよう、そう決意するのです。そんな毎日が5日続けばこれまでの5日間の百倍も価値のある5日間になるでしょうし、10日続けばこれまでの1万倍もの価値のある10日間になることでしょう。

私はいわゆる「人の振り見て我が振り直せ」などという月並みなことを言っているのではないのです。もちろんそういうことも必要でしょうが、もっと深く、自分の教育観を見つめ直してみるために、自分の教師としての一挙手一投足の意味を問い直してみるために、自分への「?」にこだわってみること、それが成長につながるんだよ、と言っているのです。

「はてな力」とは、なんか変だなとか、これはどうなってるんだろうとか、周りを批判的に見たり疑問を抱いたりすることではありません。批判的に感じたり疑問を抱いたりしている自分は、いったい何を求めているのか、何がしたくて、どんな教師になりたいのか、それを探し続ける力なのです。

これを1年続けたらどうなるでしょうか。3年続けたら、5年続けたらどうなるでしょうか。もう想像を絶するような成長を遂げているはずです。世界が変わって見えるほどの成長を実感できるはずです。

もしも10年続けることができたら、しかも若手教師であるあなたが、明日からそういう10年を送ることができたら、あなたは教育界に大きな提案をする教師になっていることでしょう。私や山田先生ではまったくかなわないような、新たな提案をする教師になっていることでしょう。

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