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アンテナ

まずはタコを思い浮かべてください。

そう。8本足のタコです。思い浮かべましたね。

それでは次に、エイを思い浮かべてください。そうです。平べったい魚のエイです。おじさんがヒレでお酒を呑む……あのエイです。

では、次にタコとエイをいっしょに思い浮かべてみましょう。どちらが左、どちらが右でも構いません。二つを並べて思い浮かべるのです。

思い浮かべましたか? では、二つの共通点を探してみましょう。一生懸命に探してみるのです。どうでしょうか。何か、見つかりましたか?

多くの読者のみなさんには、きっと見つけられなかったと思います。せいぜい海に住んでいるとか、魚介類であるとか、どちらも酒の肴としておいしいとか、そんな程度でしょう。日本人には見つけられないのです。

実は、タコとエイをあわせた概念として、英語に「devil fish」という言葉があります。英米人はタコとエイに共通性を見出して、「悪魔の魚」と呼んでいるわけですね。日本語には「devil fisf」の概念がないので、日本人にはタコはタコ、エイはエイとしか思えないわけです。でも、「devil fisf」という概念を知ったいまとなっては、なるほど、「悪魔の魚」と呼ばれても不思議はないような形状をしている……そんな印象を抱きはしませんか?

さて、なぜ、こんなにも長々とこの例について語っているのかというと、実は、人間には「あれども見えず」ということが多いのだ、ということをみなさんに知っていただきたいからなのです。しかもそれは「言葉を知らないから」「知識がないから」という理由であることが多いのだということを理解していただきたかったのです。

だれもがアンテナを高く張って、多くの有益な情報を得たいという思いを抱いています。しかし、いくらそういう意欲をもっていたとしても、「知識がないと見えないこと」が多いのです。「アンテナ力」を考えるとき、まず何はともあれ、「自分には見えていないものがあるに違いない」と謙虚な構えをもつことです。

もちろん、アンテナ力の基本は意欲です。高く広くアンテナを張っている方が、低く狭く小さなアンテナの人よりも感度は高いに違いありません。

しかし、いくら情報がアンテナに引っかかってきても、その情報を有益な情報として捉えられないのでは何の意味もありません。

毎日じっくりと子どもを観察する、先輩教師に助言を請う、いろんな研究会に参加して講師の話を聞く、どれも大切なことです。でも、子どもの姿の微妙な変化を、先輩教師の助言の意味を、研究会の講師の話の内容を、もしもあなたがいまよりも言葉を知っていて知識をもっていたら、もっとずっと広く、もっとずっと深く理解できるのです。

アンテナ力はものを知っていれば知っているほど感度がよくなっていくのだということを肝に銘じて欲しいのです。ちょうど、タコはタコ、エイはエイと思っていたのが、「devi lfish」の一語を知るだけで、二つの共通性という新たな世界を知ったように……。

ものを知る。知識をもつ。そのためには、まずは本を読むことです。

あなたは教職に就いてから、いったい何冊の本を読んだでしょうか。漫画ではなく、雑誌でもない、趣味の本でもない、要するに「仕事に活きるかもしれない」と思って手にした本が、いったい何冊あるでしょうか。

教師には、学生時代にはたくさん教育に関する本を読んでいたのに、教員採用試験に合格して「先生」と呼ばれる立場になった途端に、日常の忙しさに埋没してほとんど本を読まなくなったという人が多い傾向にあります。教育の本質は本に書いてあることなどではなく、子どもたちとのかかわりの中にある、そういう思想が教育界に根付いているからです。これは意識しているしていないにかかわらず、みんながもっている感覚です。

しかし、知識がないと、実は子どもとのかかわりからさえ学ぶものが少なくなってしまうのです。知識を蓄積することに貪欲にならないと、アンテナは高くならないのです。

毎日少しでも本を読む。そして本で学んだ視点から現実を見てみる。子どもたちはもちろん、自分の指導の在り方、子どもたちとのかかわり方をもその視点から眺めてみる。そうした毎日の積み重ねこそが、アンテナを少しずつ少しずつ、しかし確実に、高く広いものにしていくのです。

なんだか、受験生が毎日されているお説教のようですね(笑)。でも、これが真実なのです。

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