聞く力が高い…
「聞くこと」の指導は学校教育の永遠の課題です。なぜ子どもたちが聞いてくれないのか、なぜ子どもたちが理解してくれないのか、なぜあんなに一所懸命に話したのに子どもたちに伝わらないのか、教師はそんなことばかり考えています。
かつては教師の話し方が洗練されれば、子どもたちは必然的に理解してくれるはずだという論理で、教師のプレゼン能力や授業技術、教育技術ばかりがテーマにされ研究されました。もちろん、そうした努力は一定の成果を上げましたが、子どもたちの聞き方そのものを上達させるには至りませんでした。教師のプレゼン能力や授業力ばかりが高まって、子どもたちを成長させることはなかったのです。
実は、構成意識をしっかりもち叙述に潤いをもたせたわかりやすい話やうまい話ばかり聞いている子どもたちは、だらだらした話、下手な話に拒否反応を示すようになります。一見、それでいいじゃないかと思われるかもしれませんが、世の中では重要な内容、大切な内容を話す人が必ずしも話がうまい人とは限りません。そうした話に耳を傾けることのない子どもたちは人生において大きな損をするのではないか、私はそう考えています。
下手な話でもよく理解できる、そういう人こそが実は「聞く力」が高いのです。教師が教育技術を高める、プレゼン能力を高める、これは基本的に良いことですが、良いことにも必ず裏の面というのがあるものです。私たちは自分の力を高めることだけを目指して教師をしているわけではありません。あくまで育てなければならないのは子どもたちであり、力をつけてあげなければならないのは子どもたちなのです。日常的にそういう意識をもちたいものです。
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