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廣木道心

廣木道心(ひろきどうしん)という武道家でありヘルパーでもある男と出逢った。

武道家としての彼の実績を僕はまったく知らない。でも、ヘルパーとして児童にどういう働きかけをするか、或いは働きかけをしないかという思想と手法に、武道がどれだけ活きているかが、かつて空手をやっていた僕にはよく理解できた。もちろん僕の空手は中途半端でおめてしまっているから、彼の武道と比較することはできない。正しく言えば、僕が空手で学んだベクトルの張るか延長上に彼の主張があるということがよくわかった、ということである。

僕が提案している教育思想と、彼の主張している介護思想は、構造的にまったく同じだった。人は逢うべき人と逢うべきときにちゃんと逢う運命にあると、僕は心から信じているけれど、久しぶりにそういう出逢いの運命(さだめ)を感じた。彼は特別支援教育の領域に、現実的な対応として大きな提案をし、大きな貢献をすると確信した。

しかも、たった30人の小さなセミナーだというのに、こういう出逢いの場に、たまたま編集者が3人もいた。僕や桃崎さんといった講師陣が打ち合わせをしようとしていて、たまたま3人もいたのである。これもおそらく運命であり、必然である。編集者3人ともが、廣木道心の提案にうなっていた。僕だけが感激したのではない。彼の理論とスキルには間違いなく力がある。

「明日の教室」よ、新潟よ、青山新吾よ、多賀一郎よ、僕とつきあいのあるすべての人たちよ、廣木道心を一度呼び、3時間、彼のワークショップを受けてみるといい。おそらく僕らが特別支援教育で困っていることに対して、その解答を得られるだろう。

見通しをもたせる、関係機関との連携、危険がない限り見守る、カンファランスの必要性……特別支援教育で言われていることはすべてわかる。でも……、とは言っても、実際に暴れている、現実のこの現象に困っているのだ、そういう声が方々から聞こえる。その隙間は廣木道心がちゃんと現実的に埋めてくれる。

要諦をいえば、子どもに勝とうとしない、指導しようとしない、けれど負けるわけでもない、相手を傷つけない、でも自分も傷つかない、引き分けに持ち込むための武道である。相手を殺さない、傷つけない、でも、決して自分も傷つかない、そういう武道である。

書いて良いのかどうかわからないが、自閉症の子をもち、親として格闘し、仕事をやめてヘルパーにもなってしまう、人生を賭けた提案でもある。語り口はソフト。僕の紹介を聞いただけでは、要するに他人の話を聞いただけではにわかに信じられず、多くの方は「きっと怪しいんじゃない?」と感じかもしれない。僕もそういうタイプだからよくわかる。しかし、実際に逢えばわかるが、廣木道心はそんなふうに感じさせるものを一切もっていない。

もう一つ、武道にありがちな無に至るとか、なんとかの境地に達するとか、そういう語り口も一切ない。ちゃんと聞いている相手を見て、相手の立場になって語る。メタ認知で語る武道家である。しかも自己相対化もストイックなまでにしている。とにかく彼のモチベーションは息子との親子関係、息子への愛情から出発しているから半端でない説得力をもっている。

武道家としてどうなのかわからない……。こう僕に言わせるのは、武道というもの自体に対する批判的視点を彼が持ちすぎているからである。そういう自己批判も徹底している。とにかく彼の提案の出発点は息子との十数年にこそある。

僕とつきあいのある方はわかると思うが、僕は他人のことをこまで褒めることが滅多にない。まずないと言ってもいい。今回が初めてと言っても過言ではない。廣木道心の介護思想とスキルは、それほどに僕を捕らえた。とにかく素晴らしい。

伝わるだろうか……。彼の思想やスキルが完璧だと言っているのではない。彼の提案が教育界に革命的な視野の広がりをもたらすだろうと言っているのである。わかってもらえるだろうか。

【追記】

ウィキが信頼できるか否かの問題はあるが、経歴としてこんな感じであるらしい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BB%A3%E6%9C%A8%E9%81%93%E5%BF%83

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