1.久し振りに札幌での国語科授業づくりセミナー。外部講師を立てずに、「研究集団ことのは」メンバーだけで行うセミナーである。参加人数を少数にして、その代わり内容的には濃い内容を扱うことを旨とする。数えれば19回目である。初めての参加者もいたが、どこか懐かしい感じがして心地よかった。
2.どちらかというと、僕らが好き勝手にしゃべるタイプのセミナーである。完成されたコンテンツを語るというよりも、本音ベースの地に足のついたことをしゃべる。経験の浅い若手の登壇機会にもする。ただし、思い切り斬る。参加者とかなり近い距離で進めて行くことを旨としている。僕らの原点である。
3.実は本になるようなコンテンツもこういうセミナーで好き勝手をしゃべっているうちに、不意に出来上がることが多い。昨日は「一斉授業10の原理」という講座なのに、あまりにも話があっちに行ったりこっちに行ったりするので、10原理のうち5番目で90分が終わってしまった。それもありなのである。
4.現在、明治図書の「エピソードで語る教師力の極意」という10巻シリーズの企画が進んでいる。10人の実践者が教師としての力量形成の経緯をエピソードを中心に語るというものである。私は既に10月に脱稿している。今日、中村健ちゃんの原稿を読んだ。おもしろい。というよりも、興味深い。
5.これまで、石川晋、山田洋一のものを事前に送ってもらって読ませてもらっている。当然のことながら、みんな力量形成の在り方の質は違う。興味関心の在処も違う。しかし、共通しているのは、みな自分の立ち位置というものに非常に自覚的に力量形成を図っているということだ。
6.このシリーズは馬鹿売れはしない。絶対にしない。でも、きっと後続の若い教師たちにとって、こういう本こそが実は一番ためになり、一番必要とされている本なのだろうという感じがしている。たぶんこれを10冊全部読んだら、某かの道筋を見つけられるのではないか。そんな気がする。
7.でも、きっと、このシリーズ本をおもしろがって読むのは、力量形成や上達論に対する意識を高くもっている中堅・ベテラン教師だろうとも思う。ああ、オレもあの頃、このような取り組みをすれば良かったという、いくばくかの後悔の念とともに。しかし、後悔などする必要はない。
8.人にはいろんな人生がある。当然、教師にもいろんな人生がある。10人がそれを披瀝し合ったとき、何かが生まれるものと信じている。これだけある程度の著作を重ね、ある程度の名前ももっている教師たちが、いまなお壮絶なまでに学び続けていることが素直に表出される。そんなシリーズ企画である。
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