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『一斉授業10の原理・100の原則』 まえがき/目次/あとがき

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新刊『一斉授業10の原理・100の原則~授業力向上のための110のメソッド』(学事出版)が納品になったようです。明日から学事出版で販売開始です。

『一斉授業10の原理・100の原則~授業力向上のための110のメソッド』堀裕嗣/学事出版/2012.10

【書評】

教師のチビチビ記録

横山験也先生

糸井登先生

桑原賢先生

沼澤晴夫先生

石川晋先生

長瀬拓也先生

コマイヌさん

多賀一郎先生

半径3mの教育論

まえがき

授業づくりには教師の仕事のすべてが凝縮されています。

授業にはその教師の知識、仕事に対する構え、コミュニケーション・スキル、人間的魅力などなど、その教師の〈人間〉がすべて凝縮されているのです。その意味で、その教師の授業を5分も見れば、その教師の教師としての実力はだいたいわかるものです。

学級経営がうまいのに授業が下手だという教師を見たことがありません。部活動では見事な指導をして成果を挙げるのに授業は下手だという教師を見たことがありません。ましてや、授業が下手なのに見事な教育課程を編制するなどという教師がいるはずもありません。授業づくりにおいて多角的な広い視野で検討できる人は、学級も部活も多角的に見えているのです。授業で深い洞察ができる人は学級経営でも部活指導でも深い洞察力を発揮しているのです。授業づくりを多角的に検討でき、子どもたちに深い洞察の目を向けられるからこそ、現実的な教育課程も編制できるのです。

もう一度繰り返します。

授業づくりには教師の仕事のすべてが凝縮されているのです。

最近、教師の学びの対象の中心が、教師の興味関心の中心が、授業づくりから学級づくりへと移ってきています。書店の教育書コーナーを見れば明らかです。

かつては書棚のほとんどが、授業づくりと教育問題で占められていました。「○○の授業」「授業づくりの○○」といったタイトルがひしめき合っていました。「国語教育」「数学教育」といった教科別のコーナーも広く取られていました。その一角に「いじめの指導」とか「不登校児童の対応」とか「管理教育批判」とかがひっそりと佇んでいるという趣でした。いまは教育書コーナーの半分近くのスペースを学級づくりが占めているという状況が当たり前になりました。

しかし、考えてもみてください。子どもたちが学校にいる時間の八割り程度は授業なのです。学級づくりも生徒指導も、学活や放課後にのみ行われるものではないのです。生き生きとした学級を特別活動でだけでつくれるはずもありませんし、子どもたちが安心感をもてる人間関係を授業外のみで考えることもナンセンスなのです。授業の中でどのように教師が信頼されるような言動をとり続けるか、授業のなかでどのように子どもたち同士の人間関係をつないでいくか、こうした視点を抜きにして学級づくりも生徒指導もあり得ません。

私はいま一度、教師は学びの焦点を授業に戻すべきだと考えています。授業の中にある学級づくりや生徒指導の機能を再評価する……そういう視点を大切にすべきだと考えています。

もう一つ、私が危惧を抱いていることがあります。それは授業づくりの中心があたかも〈協同学習〉や〈ファシリテーション〉であるかのような風潮が一部に見られることです。もちろん、長い歳月を経て、そういう時代が来るかもしれません。わたしはも前著『教室ファシリテーション10のアイテム・100のステップ』を提案していますから、そのことは否定しません。しかし、まだまだ授業の中心は〈一斉授業〉です。これはまったく揺るがない「事実」であり「現実」です。

そもそも、実は〈一斉授業〉をできない教師に、〈協同学習〉や〈ファシリテーション〉は成立させられません。子どもたちの活動したい、交流したいという意欲を喚起するのは、課題の質であり、確かなフレームワークです。そしてそれは、長く行われてきた発問研究や授業システム研究と質を同じにしています。

〈協同学習〉や〈ファシリテーション〉を悪いと言っているのではありません。若い教師はそれらと同時に、〈一斉授業〉をもできるようにならなければならない、と行っているのです。子どもたちを納得させたり捌いたりという手法を身につけなければ、ダイナミックな活動は機能不全に陥ります。ダイナミックな活動の流行、ダイナミックな活動の効果は、それだけを学べば良くなったことを意味しません。学ぶことべきことが増えたことを意味しているのです。教師たる者、その覚悟をもちたいものです。

【目次】

第1章 一斉授業を機能させる10の原理

1.ゴールイメージの原理/最終目標の意識化
2.フレームワークの原理/授業目標の具体化
3.メインターゲットの原理/指導事項の具体化
4.ユニットプログラムの原理/授業内容の分節化
5.ブリーフィングマネジメントの原理/指導言の差別化
6.インストラクションの原理/学習趣意の明確化
7.スモールステップの原理/学習活動の系統化
8.グループワークの原理/学習活動の協同化
9.パーソナライズの原理/学習内容の凝縮化
10.ポートフォリオの原理/成長過程の物語化

第2章 一斉授業を機能させる100の原則

1.基本として身につけたい10の原則
2.指導言を機能させる10の原則
3.机間指導を機能させる10の原則
4.発言指導を機能させる10の原則
5.小集団交流を機能させる10の原則
6.ノート指導を機能させる10の原則
7.評価評定を機能させる10の原則
8.授業構成をつくる10の原則
9.年度当初に徹底する10の原則
10.授業力を向上させる10の原則

あとがき

本書は「10の原理・100の原則シリーズ」の四冊目にあたります。シリーズ中で授業づくりを対象としたものとしては『教室ファシリテーション10のアイテム・100のステップ』に続いて二冊目となりますが、前著と異なり、日常的な授業をどうつくるかという最も卑近な領域を対象としています。その意味ではシリーズ一冊目の『学級経営…』同様、「失敗しないための勘所」といった基本トーンをもっています。

しかし、「失敗しない授業づくり」は決して「成功する授業づくり」と同義ではありません。〈失敗しない〉ということはゼロベースを維持することであり、〈成功する〉ということはプラスに移行させることですから、両者は基本的な発想を異にしています。それでも、耳ざわりの良い、口あたりの良い教育書ばかりが横行する最近の風潮の中、こうした最低限のラインを示すことにも意義があるのだと信じて本書を執筆しました。読者の皆様には、どうか前著『教室ファシリテーション10のアイテム・100のステップ』と並行してお読みいただければ幸いです。

本書の内容は、教職に就いて二十数年間、様々な先達から学んできたことのうち、これだけはすべての教師が身につけた方がいいなと確信している内容で構成しています。「全生研」や「法則化運動」の教育運動、野口芳宏氏や鹿内信善氏、更には最近になって親交の始まった赤坂真二氏や西川純氏から学んだことのエッセンスも取り込まれています。また、その多くが、長くともに研究活動に取り組んできた「研究集団ことのは」のメンバー、「教師力BRUSH-UPセミナー」のメンバーとの議論の中から到達した内容であることも付記しておかなければなりません。そして何より、学生時代から教えを受けてきた師匠森田茂之の大きな影響下にあります。これまでの恵まれた出逢いを実感するとともに、感謝の意を申し述べさせていただきます。

さて、裏話を一つだけ。実は本書は本シリーズにおいて、編集者との打ち合わせどおりに執筆を進め、初めて締切前に仕上げることのできた本です。自分が成長したのか、はたまたテーマが自分の書きやすいものであったのか、そのあたりは自分でもよくわかりませんが、編集者からの督促を一度も受けずに書き上げた本というのはこれが初めてです。というわけで、今回は編集の戸田幸子さんには感謝するというよりも、「どうだ!」と言いたい気分です。

最後になりましたが、今回も楽しい漫画とイラストを添えていただいたイクタケマコトさんに深く感謝申し上げます。

2012年6月29日 今年初の真夏日の書斎にて 堀  裕 嗣 

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