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11月4日(日)

1.財務省主計局の「文教・科学技術関係資料」。久し振りにおもしろい資料だ。学力向上が絶対善として語られているが、いったい誰のための学力向上なのだろう。学力を向上させることの目的は何なのかということを、政治と行政は一度、真剣に考えてみた方がいい。まだ、学力向上の目的が80年代までの、バブル崩壊以前の文脈で考えられてしまっている気がしてならない。もうそういう学力向上は生徒たちの1割程度、多く見積もっても2割程度しか必要としていない。「終わりなき日常」がもう社会の隅々にまで浸透してしまったのだから。

2.教育論に興味を抱いて教師をしているうちはうまくいきません。目の前にいる子どもに興味を抱き、試行錯誤しているうちに教育観が生まれ、やがてそれが自らの教育論になっていくのです。10年間がむしゃらに取り組むとその萌芽が見えてきます。10年の時を経ずに見えてきたものは幻想に過ぎません。

3.経験を重ねるほど主張はシンプルになっていきます。こねくりまわす必要も、裏返す必要もないことに気づいていきます。若い頃は、先達のそのシンプルさが大雑把な主張に見えて、どんどん思考を複雑化させていきますが、先達のシンプルさが複雑な思考の末に到達したシンプルさであることに気づくのにそれから20年かかります

4.努力する者だけが教壇に立つべきなのです。自らの成長を怠らない者だけがその資格をもつのです。もっと遠くへ。もっと高みへ。自らの可能性に飢えない者に教壇に立つ資格はありません。もちろん心を病んでまでそうする必要はありませんし、死を考え出したらすぐに逃げるべきです。しかし、でも命に関わる場合以外は逃げるべきでありません。

121009cover5.新刊『教師力アップ 成功の極意』(明治図書)

twitterのつぶやきから生まれた本です。僕のツイートのうち、リツイートの多かった40を選んで、それぞれについて平均3頁の解説を施したものです。amazonの予約が始まっています。

6.【拡散希望】第3回学級づくりプログレッシヴセミナーin愛知/2012.12.22(土)/刈谷市総合文化センター402研修室/3000円/講師:堀裕嗣・山田洋一

7.【拡散希望】第19回国語科授業づくりセミナーin札幌/2012.12.08・土/札幌市白石区民センター1F多目的室/3000円/講師:堀裕嗣・山下幸/テーマ:一斉授業10の原理・100の原則~国語科授業づくりを向上させる110のメソッド

8.この時代、おそらく担任教師の役割の第一義は、子どもたちに「無条件に自分を承認し愛してくれる者」が家族以外にもいるのだということを実感させることなのではないかと思います。その体験を与えることなのだと思います。生活指導や生徒指導、学力向上など、仕事上の諸事項はそれを前提にしてこそ機能します。

9.しかし、それは自分の学級に酒鬼薔薇聖斗がいてさえ、彼を承認し愛することをも意味します。教師の人間としての資質が問われる難しい問題に思えます。

10.ある教え子の相談に対する返信。「人生の最初の1/3は情熱だが、その後の2/3は生活だ。淡い過去を想い出せば心に波風くらいは立つ。でも、そんなことで生活は影響なんて受けない。何も心配する必要はないし、苦しむ必要もない。すぐに冷静に戻れるよ。」我ながら的確な言葉だなあと思う。

11.ひと月ほど前、原稿を書くために昔書いた脚本の台詞が知りたくて、でも、その脚本が見つからなくて、当時その役を演じた生徒にメールで訊いた。
  「走ったわ。ただひたすら走った。もう後戻りはできないと思って。でも、でもね、私の頭の中には赤い靴のことしかなかったの。これから街に出て、バレリーナになって、赤い靴をはくことだけを考えていたの。そう。赤い靴しか見えなかったの。その他のものは何も見えなかったの。何も聞こえなかったのよ。大きな汽笛をならして、近付いてくる列車の音さえ聞こえなかったのよ。」だったと思います……とのこと。
  今日、その脚本が見つかった。細かな間違いを修正しようと思って確認してみると、一言一句違っていない。たいしたもんだ。この台詞、1993年8月の上演である。教え子を尊敬してしまった。

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