目撃情報あれば即事実確認
「日本教育新聞」に800字ほどのいじめに関する小文を書いた。大津の件を受け手の特集記事の一つである。
目撃情報あれば即事実確認
いじめを発見する。いじめの目撃情報を得た。いじめられているという訴えがあった。こうしたとき、現場教師がまず取り組まなければならないことは、起こった事実を確認することである。それがいじめであるか否かの判断はその後の話である。
いじめを自らの目で発見しようが、児童・生徒の目撃情報であろうが、被害児童・生徒の訴えであろうが、少なくとも誰かが「いじめ」と認知するような事象があったことを意味する。それだけは確かである。とすれば、その誰かが誰によるどんな行為を「いじめ」と認知したのかは、必ず確認されなければならない。
まず①起こった事実を確認する。次に②それが「いじめ」であるか否かを判断する。さらに③「いじめ」と判断された場合には指導する、そういう順番なのである。従って、事実確認に教師が動いた事案の数は、「いじめ」と判断されて指導が行われた事案の数を圧倒する、それが本来の姿である。
「いじめ」とよく似た概念に「いじり」という語がある。前者は嫌いな相手を下に見て攻撃するという概念、後者は対等な者同士で軽くからかい合ってコミュニケーションに潤いをもたらすという概念である。
世の「いじめ」という概念には、①暴力や恐喝のような犯罪行為②集団による無視やからかい③一部からはけんかにしか見えない1対1の攻撃④潤滑油として機能することのあるいじり、という4段階がある。①~③は認知された時点で、常に教師が起こった事実を確認し、本人にいじめの認識があろうがなかろうが指導の対象とすることが必要である。④のいじりについては、認知された時点でいじられている側がどう捉えているかを確認しなければならない。
しかし、大津の件は①~③にさえ、事実確認も被害意識確認もなされなかったようである。Aいじめかいじりか、Bいじめかけんかか、C暴力かプロレスごっこか、本人に「いじめたつもり」があるか否かによって指導の在り方を変えて良いのはAのみである。
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