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8月18日(土)

1.これから「研究集団ことのは」の夏休み特別例会です。中学1~3年の2学期教材のすべての教材研究を全員で分担して発表、検討します。こういう営みが僕たちの授業を支えています。こういう地道な活動を蔑ろにしてはいけません。「ことのは」が中学国語教師だけで構成されているのはこのためです。

2.この特別例会は来週の土曜日も行います。2週連続で検討すれば、それなりにいろいろなことが見えてきます。冬休みは次年度に向けて、各教材の授業パターンを幾つか開発していきます。今年度は教科書が変わってずいぶんと戸惑いましたが、次年度からは授業に戸惑うことはなくなっていきます。

3.「研究集団ことのは」8月特別例会が終わりました。13時~21時まで。8時間の長丁場です。文学の新教材がなぜこんなにも軽い作品、勘違い作品が多いのかというのが話題になりました。これは光村・教出に共通する傾向です。文学で議論になったのが「盆土産」のみだったのです。光村の老舗教材です。

4.説明的文章は内田樹の「学ぶ力」(教出2年)に見るべきものを感じました。内容に対する賛否はともかく、授業として成立させやすいこと、子どもたちの批評が成り立つことの2点を感じられる教材でした。授業化すればかなり盛り上がり、学習が機能する、そういう授業を展開できそうです。

5.「ネット時代のコペルニクス」(光村3年)は賛否が分かれました。最後に課題を投げかけて読者に委ねるタイプの説明文なのですが、問題意識を喚起するというよりは、いわゆる「逃げの説明文」という印象を受けました。文章構造も序本結による論説というよりも、1本のレールで読み手を誘う展開です。

6.それにしても文学の新教材がひどい。見るべきものは「暗闇の向こう側」(教1年)のみ。「アイスプラネット」(光2年)や「にじの見える橋」(同1年)、「タオル」(教2年)は百歩譲ってまだ許せるにしても、「星の花が降るころに」(光1年)と「みどり色の記憶」(教3年)は本当にひどい。

7.編集している人たちが道徳教材にさえなり得ないような、自らの世代がシンパシーを感じるような古くさくて読みやすい純情物語を掲載している。生徒たちが一読「キモ!」と言って片付けるような主人公がいかにも70~80年代チックな悩み方をする物語である。時代錯誤も甚だしいとしか言いようがない。

8.この手のものは映像化にさえ耐えないだろう。まるで昔の「リボン」とか「なかよし」とかに載っていそうな、乙女チック路線なのである。程度の低い「白線流し」を映像ではなく活字にしてしまった感じといっては「白線流し」に失礼だろうか。編集者は「活用」を勘違いしているのではないか。

9.活用・批評させるために時数の関係上教材を易しくする、その発想自体はわからないでもない。しかし、易しいということは中学生に迎合することではない。しかもその迎合しようとする中学生像があまりにも古くさいのだから、もうどうにも機能のさせようがない。アナクロニズムの世迷い言になっている。

10.工藤直子も宮澤賢治も優しい日常語を使いながらその世界観は陳腐ではない。そういう教材をこそ開発しなければならない。今回の新教材は陳腐なのだ。しかも、アナクロな陳腐さなのだ。私はこうした実情に合わない主人公に似たタイプの女子生徒がいじめに逢うのではないかという心配までしてしまった。

11.説明文には見るべきものがある。インパクト重視で世界観の広がりを狙った教出。徹底して技能習得を狙った論理性にこだわった光村、賛否はあるにせよ編集の意図はよくわかる。ひどいのは文学なのだ。学校で習う文学教材は小学校から高校まで40本に満たないのだ。その内の1本が本当にこれでいいのか。

12.もしも文学の終焉という時代認識を抱き、これからの文学教材はこういうものだという確固たる編集方針をもっているのならそれはそれでいい。しかし、それならば、まず政治的意図で採択し続けている「故郷」(魯迅・3年)をはずすべきだ。大人の都合は排除できない、他は勘違いの迎合では一貫性がない。

13.【残席18/今回は定員は増えません。お申し込みはお早めに】第6回教室ファシリテーションセミナーin東京。10月7日(日)に新宿で。参加費は3000円。堀裕嗣・山下幸・藤原友和。今回はファシリ導入へのステップをワークショップで提案します。http://kokucheese.com/event/index/46040/

14.イライラは3日後でもできる。でも、いまやるべきことは、いまやらなければ後悔する。だからいまやるべきことをやるのだ。3日後にはイライラの原因など忘れている。笑い話になることさえある。そういうものなのだ。イライラは未来へ送れ。仕事は過去を顧みよ。歴史に学べ。そういうものなのだ。

15.【残席17/今回は定員は増えません。お申し込みはお早めに】第6回教室ファシリテーションセミナーin東京。10月7日(日)に新宿で。参加費は3000円。堀裕嗣・山下幸・藤原友和。今回はファシリ導入へのステップをワークショップで提案します。http://kokucheese.com/event/index/46040/

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