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8月16日(木)

1.事務仕事を雑務だと考えている教師が少なからずいます。自分は子どもたちと接するために教師になったのであって、事務仕事をするために教師になったわけではない、そう公言する教師もいます。確かにその通りでしょう。今も昔も、事務仕事が教師の仕事の中核を占めたことはありません。教師の仕事の中核はいつだって子どもたちを教え導くことであって、煩雑な事務処理ではありません。

2.しかし、子どもたちと接することが仕事の中核だからといって、事務仕事が下手でも良い、苦手でも良いということを意味しません。仕事の中核ではなく周辺として意識されているということは、その仕事はできてあたりまえの、ミスの許されない仕事であるということを意味しているのです。しかも、事務仕事は「やればできる」と考えられています。学級経営や生徒指導のように、「人間相手だから」「思い通りにいくものじゃないから」という言い訳が一切ききません。事務仕事はいつだって完璧が求められるのです。

3.事務仕事を「ついつい後回し」にしてしまったがために、予想外のことが起きたときに対応仕切れなかった……教師がよく陥りがちなのがこうした事例です。基本的に事務仕事というのは「始めること」が大切です。とにかく始める。そしてできれば、不完全でも良いから一気に最後までつくってしまう。「事務仕事は拙速を旨とする」とさえ言われます。まず拙速でも良いからつくってしまう、後にそれを見直し修正することによって仕上げる、そういう仕事の仕方が〈大人の仕事の仕方〉です。

4.何事にも完璧などありません。ミスはつきものですし、勘違いということもあります。それを締切までに何度見直し何度修正したか、そしてどれだけその時間を確保できたか、事務仕事においてはそれが勝負だと言っても過言ではありません。

5.教務主任になってうろたえる。プライドが傷つく。周りを頼らざるを得ない。周りに迷惑をかける。長く指導部畑で仕事をしてきた教員が、昇進が視野に入ってきて教務や進路の仕事に初めて就いたという場合に起こりがちな事案です。

6.子どもたちを動かしているのは確かに学級担任や生徒指導部ですが、学校を動かしているのは間違いなく教務部です。長く生徒指導畑を渡り歩いてきたベテラン教師はそのことがわかっていません。むしろ、たかが事務仕事と馬鹿にしている場合さえ少なくないというのが現実です。

7.しかし、行事計画や行事日程がどのように立てられているのか、教育課程がどのように編制されているのかを知らずして、学級経営や生徒会活動、部活動や生徒指導ができると考える方がどうかしています。すべて教育課程に従って運営されているわけですから、それを知らずに独自に運営しているということは、自分がとう感じていようとそれは独善に過ぎないのです。

8.事務力の大切さは事務仕事が大切だという意味を超えて、教師がこうした独善に陥ることなく、広い視野に立って教育活動を行うためにも必要なのだということです。正直なところ、若いうちは独善的に走ることも悪くないと私も思います。しかし、30代も半ばを超えたら、勤務校の教育課程に興味を抱き、学習指導要領や生徒指導提要などの基本文献にも目を通し、世の中の文教政策がどのように動いているのかということに関心を寄せなければなりません。ベテランの独善は影響力が大きいだけに害になりやすいのです。

9.【拡散希望】累積科学国語教育研究会in東京/テーマ:国語科授業づくり・5つの視点/多賀一郎先生をお迎えして、「研究集団ことのは」の提案です!/2012年10月6日(土)/上智大学/3000円/多賀一郎・堀裕嗣・山下幸・藤原友和・千田洋幸http://kokucheese.com/event/index/46174/

10.【拡散希望】第6回教室ファシリテーションセミナーin東京/テーマ:教室ファシリテーションへの挑戦!~システムとステップ/2012年10月7日(日)/上智大学/3000円/堀裕嗣・山下幸・藤原友和/今回は日常授業でつなげるステップです。http://kokucheese.com/event/index/46040/

11.【拡散希望】第2回学級づくりプログレッシヴセミナーin札幌/テーマ:道徳の授業づくり・学級づくり/2012年10月13日(土)・14日(日)/札幌市内/6000円/佐藤幸司・桃崎剛寿・山田洋一・堀裕嗣/とっておきの道徳授業小・中編者揃い踏みhttp://kokucheese.com/event/index/46043/

12.今日も出勤。新校舎は少しずつ片付き始めている。来週からは小学校が始まる。小学校の先生方のほとんどが出勤して、授業準備や行事打ち合わせが始まった。中学校側はまだ1週間以上あるので雰囲気はのんびり。旧校舎は今日も特殊部隊の訓練。窓の外にはしごがかかっていた。訓練は明日までらしい。

13.父性型教師は様々な角度で優先順位を考えて、判断しなければなりません。生徒や保護者と当たらなければならないこともあります。ときには周りの先生方の理解が得られないことさえあります。それでも、判断し責任をとらねばならないのです。孤独への耐性は父性型教師の職能の一つなのです。

14.父性型教師として孤独を噛みしめることなど、年に何度もあることです。自分が良かれと思ってしたことが生徒に理解してもらえなかったとか、自分のとった行動が保護者に理解されなかったとか、自分が良かれと思っての判断が同僚に理解されなかったとか、人間同士の営みなのですからそんなことはあって当然です。

15.しかし、父性型教師の仕事の第一は良好な人間関係を築くことではありません。学校の規範を守ることです。自分の判断が正しかったかどうか自己点検することは大切なことですが、人間関係の苦しさ故に判断を甘くするということだけはしてはいけません。

16.生徒指導は即時指導が大切な場合が多いものです。父性型教師の判断に疑問を抱いたとしても、まずはその判断に従って動きましょう。

17.父性型教師の判断について疑問がある場合には、自分の意見をしっかりと伝えるとともに、父性型教師の判断の理由を納得できるまで聞くのが最も良いコミュニケーションの在り方です。

18.自らの判断が周りに理解されない場合があってとしても、その判断を覆すことは絶対にしてはいけません。父性型教師の判断が揺れると、その教師集団の生徒指導は途端にバランスを失います。

19.子どもたちに指導するときにその意味、理由を語らなければならないように、同僚にも判断の意味や理由を語って、指導の全体像を見えるようにしてあげることが大切です。

20.いかに広い視野で適切な判断ができるかは、どれだけの生徒指導事例を知っているかということが決めます。生徒指導や教育相談に事例研究が多いのはそのためです。日常的に様々な場で事例を集めることを心掛けましょう。

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