1.夏休みからは「環境調整型権力」発動の在り方について、学校教育から様々に取り出し、解説していくことにします。僕の提案は学級経営にしても生徒指導にしても授業づくりにしてもファシリテーションにしても、基本的に流れているのは「規律訓練型権力」から「環境調整型権力」へという思想です。
2.常に自分の出来得る限りの最大限の丁寧さをもって子どもたちに当たる……そういう構えが必要です。AとBの手法があったとき、どちらが丁寧かと考えてみましょう。丁寧な方を選択すれば、失敗したとしても、子どもや保護者が「仕方ないかな。先生も精一杯やってくれたし」となることが多いのです。
3.教師の仕事は判断の連続です。授業や生徒指導はもちろん、ただ廊下を歩くときさえ、子どもたちの様子を見て注意すべきか否か、いつどのように注意すべきか、一人で注意すべきか複数で注意すべきかと判断しているのです。これだけ判断があるのですから、常に優先順位思考を身につけなければなりません。
4.教育活動において、優先順位の1・2・3……をもっていると、優先順位の1番だけは絶対に実現するぞ、という構えをもてます。2番目・3番目は実現できたら御の字という余裕が生まれます。優先順位思考がないと、あれもこれもと、自分の描く最高の像以外は失敗に見える、欲張りな思考に陥ってしまいます。
5.子ども達は余裕をもっている先生が好きです。同じように「ダメ」と言っても、懐の深い先生と「ダメだからダメ」と思考停止状態の先生とでは、「ダメ」という言葉の機能度が違います。子ども達は指導を受けた回数3回以内のうちに、その先生の懐の深さを見抜きます。思考停止こそが教師の敵なのです。
6.学期末、通知表所見が書きづらかった「目立たない子」がいたはずです。その子たちをリストアップして、2学期の早い段階でどのように関係を結ぶのか、具体的にイメージしておきましょう。子どもたち全員に暑中見舞いを出し、そういう子にこそ長めに書くというようなことができればもっと良いです。
7.子ども達に夏休みの計画を立てさせました。教師も自分の夏休みの毎日を記録してみましょう。5日も記録をつければ、計画通りに進まないことがわかってきます。その要因を自己分析してみれば、子どもたちがなぜ計画通りに過ごせないかもわかってきます。それがわかると冬休み前の指導が変わります。
8.夏休みにうまくいったりうまくいかなかったりしたこと、そしてその成功や失敗からの学びが2学期につながりそうなこと、そういう事柄を夏休みに5つ集めてみましょう。2学期の最初の1週間で毎日一つずつ、子ども達に語ってみましょう。必ず2学期の学級が変わるはずです。学級とは教師の鏡なのです。
9.中学校の担任はいまこそ合唱コンクールに向けて動き出しましょう。まず楽譜を見ながら合唱曲を聴いてみましょう。自分の学級の曲を過去に歌った学級の映像を見てみましょう。その、たった2時間程度の取り組みが自分の頭の中に合唱コンに対するアンテナを立てさせます。感度の良い夏休みになります。
10.アンテナを立てたら、チューニングを合わせましょう。学級の実態をよく考えて、自分の学級に「なぜ」「何が」必要なのかを考えてみましょう。質の良い情報もチューニングが合っていないと無駄な情報、壊れた情報になってしまいます。自分の思いにではなく、学級の実態にチューニングを合わせましょう。
11.自分は学級の実態を把握する「目」に自信がありません。堀先生からはどう見えますか。そう訊かれたことがあります。僕は応えました。そんな気持ちでいるのなら、僕は自分の見立てを言わない。あなたの学級をあなた以上にわかっている人なんて、この世の中のどこにいますか。もっと自信を持ちなさい。
12.かつて音声言語はコンテクスト(状況の論理や空気)と不可分の一回性のものというところに本質があった。最近は音声言語が録画され、編集され、問題発言に見える箇所だけが連続して流されるようになった。一回性の音声言語が書き言葉以上に取り上げ続けられるようになった。怖い時代になったものだ。
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