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成果を挙げるには続けなければならない

教育の神髄は続けること。若いうちはあれもこれもと喰いついて良いけれど、「ああ、これだな」っていう手法をみつけたら、うまくいかなくても失敗しても苦しくても、取り敢えず続けてみること。少しずつ子どもたちにもその意味と効果が実感されるようになっていきます。残念ながら、その前に諦めてやめてしまうことが多いのが現実です。

よし!今年の国語は毎時間、最初の5分間で漢字の書き取りを5問取り組ませることにしよう。4月にそう決意します。あなたは7月にも12月にも3月にもそれをやり続けることかできているでしょうか。

よし!今年は朝の学活で朝自習に取り組ませよう。毎日プリントをつくるのは大変だけど、頑張るぞ!4月にそう決意します。あなたは7月にも12月にも3月にもそれをやり続けることができているでしょうか。

かつて十ます計算や百ます計算が大流行したことがありました。当時、あなたはとても良い方法だと感じ、子どもたちに取り組ませました。あなたはいまでも十ます計算や百ます計算に取り組ませていますか。

かつて、ベストセラー『声に出して読みたい日本語』(斎藤孝)の流行とともに、学校現場でも音読・朗読・暗唱が大流行したことがありました。朝学活やモジュールを用いて音読や暗唱に取り組むという学級が全国至るところに現れました。あなたはいまなお、音読・朗読・暗唱を重視しているでしょうか。

現在、『学び合い』や「ファシリテーション」が流行し始めています。あなたはこれは良い手法だと取り組み始めました。あなたは3年後にもそれをやり続けているという確信がもてるでしょうか。

一度や二度取り組んでみただけで、自分には合わないとか、うちの生徒たちには合わないとか、簡単に判断してしまって切り捨ててしまってはいませんか? 初めて取り組んだ日に、生徒たちの表情がいまひとつだった、生徒たちに戸惑いの表情が見られた、特別な支援を要する子がその活動に対応できなかった、やんちゃな子に「なんでこんなことするの?」と言われた、そんなたった一つのネガティヴな現象で諦めてしまい、やめてしまったりしていないでしょうか。そもそも初めて取り組んだ日に大きな成果が出る、そんな実践理念や実践手法があり得るのでしょうか。

そうです。何かを始める、何かを続けるということには覚悟が必要なのです。あれもこれもと手を出してはうまくいかないとやめてしまう、自分には向かないと諦めてしまう、そういう人に向く実践手法は実はこの世に一つもないのです。

すべての実践手法は「続けること」を前提に提案されています。続けることによって、生徒たちにじわりしわりと浸透していく、じわりじわりと効果が出てくる、それを前提として考案されているのです。そもそも「教育に特効薬なし」と言われるように、教育という営み自体がそういうものなのですから。

しかも、すべての実践手法は「それを続ける教師が試行錯誤のもとに改良すること、そしてそれを交流することによって更に良い方法へと進化されること」を期待して提案されています。「こうすれば完璧に機能するからこのやり方だけで改善も改良もするんじゃない」という提案の仕方をしているものなどこの世に一つもないのです。一度や二度取り組んだたけでうまくいかないからとやめてしまう在り方は、そもそも教育実践というものの根幹をはずしていると言わざるを得ません。

生徒たちの表情にうまく機能していないのではないかと不安になる、「これはいやだなあ」という表情をする一部の生徒たちがいる、そういうことは確かにあるでしょう。しかし、やると決めた以上は覚悟を決めて、なぜうまく機能しないのかと考え、ネガティヴな生徒たちを巻き込むにはどうしたら良いのかと考える、自分のスタイルを築いていくということはそのような試行錯誤の連続なのです。まず1ヶ月続ける。1ヶ月やってみたら、成果と課題を整理して3ヶ月頑張ってみる。そうした発展的な営みを続けていきたいものです。

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