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5月9日(水)

1.授業は三つ。「朝焼けの中で」という森崎和江の短いエッセイ。引き締まった詩人らしい文体。見事なエッセイである。こんな素晴らしい文章を授業でいじるのは申し訳ないと思いつつ、指示語の復習。その後、俵万智の文章と比較読みして主題の背反性と同質性を読み取り作文する。良い作文がたくさん出る。

2.午後は修学旅行に向けての学年集会。学年リーダーが頑張った学年集会であり、少々落ち着きにかけた学年集会でもあったけれど、最後の学年主任の投げかけには水を打ったように静かになる。放課後は珍しくゆったり。少し学校を早めに出て岩見沢へ。父を見舞い、母と長沼温泉へ。疲れがとれた感じ。

3.毎週月曜日の最初の授業を1時間録音して、そのテープを聞きながら通勤していた時代がある。3年続けた。「ええと」が多い。口癖がうるさい。余計な言葉が多い。無駄な言葉が多い。指導言の言い換えで意味が変わっている。生徒の発言の核心を拾えていない。そんなことにいやというほどに気づかされた。

4.行事本の第Ⅱ・Ⅲ章を脱稿した。これで第Ⅰ章数頁を書き、まえがきとあとがきをつければ完成である。明日には書き上がるだろう。本当は今日中の完成も不可能ではないのだが、一日くらい寝かせた方が総論を欠くにはふさわしいテンションになるものである。こういう感覚的な判断に従うのが良い。

5.親父のリハビリが進んでいるようで、今日見舞うと、車椅子からベッドへ、ベッドから車椅子へと自力で移動していた。3ヶ月振りである。これはまた歩けるようになるかもしれない……と希望的観測を抱いてしまう。もしも歩けるようになったら、いっしょに温泉に行き、札幌ドームで日ハム戦でも見ようか。

6.教師が魂を載せた言葉をしゃべれない、そんな雰囲気が蔓延して何年が経つでしょうか。いくら技術を駆使してみても、最後に説得力をもつのは魂が載っているか否かです。そんなあたりまえの理屈も通用しなくなった感があります。学校教育から言霊が消えてしまったら……そう考えるとゾッとします。

7.生徒ともPTAとも、出逢いにおいて定番の自己紹介ネタをもつことが大切です。自分を強く印象づけることなしに良い学級経営も良い授業も良いPTA活動もあり得ません。出逢いは楽しく、日常も楽しく、真面目に語るときには心底真面目に……そんな当然のメリハリをつけられない教師が増えています。

8.教師は文体にバリエーションをもつべきです。生徒に届けるために書かれる文章にも幾つかの文体をもつべきです。人の心を打つのは必ずしも美文ではありません。ましてや借り物の四文字熟語や格言など、かえって品位を落とします。自分らしさがにじみ出る文章……そのバリエーションをもつべきなのです。

9.若いときの文体には自分をよく見せたいという思いがあらわれます。年齢を重ねると、自分をよく見せることよりも、自分の伝えたいことが他人に伝わることの方を重視するようになります。もっと年齢を重ねると、自分の伝えたいことを伝えるよりも、他人の触媒になることを重視するようになります。

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