必ず成功する「学級開き」 魔法の90日間システム
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まえがき
幾つになっても、何度経験しても、4月の学級開きは新鮮な気持ちに包まれます。いいえ、年齢を重ねれば重ねるほど、経験を積めば積むほど、或いは立場を意識すればするほど学級開きへの期待は大きくなり、それと同時に不安も大きくなる……そんな印象さえあります。
私が教職に就いたのは平成3年の4月。この新卒の年に1年生を担任したときの学級開きよりも、1年後の平成4年4月に2年生を担任したときの学級開きの方が数倍も緊張したのをよく覚えています。
その後、初めて転勤して2年生を担任したときの学級開き、更に次の転勤で学年主任になったときの学級開き・学年開きと、緊張の度合いは高まっていくのでした。
ものを知る、ものがわかってくるということは、それだけ自分の欠点や未熟さ、更には生徒たちの実態や学年団の実態をも理解できるようになることを意味しています。そうすると、この手のことが起こるとやばいなとか、自分だけじゃなくて隣の新卒担任にも成功体験を味わわせなくちゃとか、若い頃には考えも及ばなかった課題に対する不安が自分自身を締め付けてくるのです。
本書は平成20年度、私が学年主任として4学級116名の1年生を担当した年の学級開き、学年開きについて具体的に語っています。学級開きの具体的な手法はもちろん、これまでの学級開き本には見られなかった、学年団の協同体制で取り組んだ事柄についても具体的に語りました。しかもこの年は私にとって学年主任としてふたまわり目の年でしたので、〈学年主任としての目〉もかなり鍛えられたうえでの提案になっています。
ただし、若い先生にも理解できるように、学級開きの手法の一つ一つについては、教室で起こった事実をもとに詳細に解説しています。一つ一つの手法についてどういった思想にもとづいて採られた手法なのか、成功したことはなぜそれが成功したのか、失敗したことは何が要因で失敗したのか、そうしたことを赤裸々に書いたつもりです。
また、中堅・ベテランの先生には、おそらく仕事をするうえで最も大きな問題意識として位置づけられているであろう教職員間の同一歩調の取り方について、どのレベルまで一致させるのか、どのように考えて学年団を運営するのかについてもかなり紙幅を使って取り上げました。おそらくこの点については、現場教師の書いたものとしては類書がないと思います。
いずれにしましても、本書は〈具体性〉ということを第一義において、とにかく詳細に解説することを念頭に置いて書きました。ご批正いただければ幸いです。
本書は次の6章で成り立っています。
第Ⅰ章では、「教育技術の法則化運動」と野中信行先生の「3・7・30の法則」を取り上げ、これらの提案と私の提案の違いについて解説しました。
第Ⅱ~Ⅳ章、及びⅥ章では、野中先生の提案を中学校用に私が作り替えた「3・7・30・90の法則」に則って、平成20年度4~6月にわたって私の学級・学年で行われたことを詳細に解説しました。賛否はあるにしても、そこで行われた事実、裏にある思想、生徒たちの実態、私が当時考えていたこと等々がかなり生々しく書かれていることだけは確かです。
第Ⅴ章は第Ⅱ~Ⅳ章をもとにして、これらの学級開きの実践から抽出された「学級開き10箇条」を提案しました。学年団としての学年開きにあたって、学年会議で私が学年主任として提案した生の資料もたくさん掲載されています。
本書が右も左もわからない新卒教師に、若さで乗り切ることに限界を感じ始めた中堅教師に、最近の子どもがわからなくなつたと嘆くベテラン教師に、総じて生徒指導に悩んだりの不安を感じたりしているすべての教師に、少しでもお役に立てるなら、それは望外の幸甚です。
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