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ギャラリー・トーク

〈ギャラリー・トーク〉とはもともと、美術館や博物館などで美術的知識や博物学的知識などに囚われず、展示品の前で数人の鑑賞者がああでもないこうでもない解釈し合い鑑賞し合うことによって、展示品から喚起される美意識を共有化するという鑑賞の手法を指します。従って、学校教育でも美術とか図工とか技術・家庭とか、作品のある教科で早くから導入されていました。

しかし、私がここで言う〈ギャラリー・トーク〉はこうした一般的な〈ギャラリー・トーク〉とは一線を画します。小集団で鑑賞しながら話し合いの題材とするのはFG、即ち〈ファシリテーション・グラフィック〉なのです。

基本的に話し合い活動・交流活動の流れ自体は〈ワールド・カフェ〉と同じと考えていただいてけっこうです。ただし、〈ワールド・カフェ〉との最大の違いは、すべての交流を立って行うということです。模造紙もあらかじめグループ分、壁に貼ってあって、すべての話し合い・交流は壁で行われます。時間は二単位時間以上、つまり、中学校ならば100分以上を基本とします。

①テーマが提示され、そのテーマに対するアイディアを生徒個々が三点以上箇条書きする。その際、一切相談をせず、時間は3分程度を目処とする。

②四人で一グループを構成し、壁に貼られた模造紙一枚とペン(8色ワンセット)で四人が自由にいたずら書きをしながら話し合う。この際、最後にその模造紙をプレゼンテーション・ツールとして用いることを基本とする。すべての人が壁に貼った模造紙に書くので、〈ワールド・カフェ〉と違って上下が乱れるということがない。時間は20分程度を目処とする。

③四人のうち一人をホストとしてその模造紙前に残し、あとの三人はそれぞれ別々のグループに移動する。その際、移動した三人は他のグループで得た情報を自分のこれまでのグループに持ち帰ることになるので、責任が重いと告げておく。

④各グループのホストがそのグループでこれまで行われた話し合いを報告する。その後、他の三人が順に自分のテーブルで行われた交流内容のうち、いまのホストの話と重ならない部分についてのみ報告し、更に話し合いを深める。この際、模造紙には自由に書き足して良い。時間は15分程度を目処とする。〈グループ・ディスカッション〉や〈ワールド・カフェ〉に慣れているので、15分あればかなり活発な議論が展開される。

⑤もとのグループに戻り、四人ですべての模造紙前に行って、その内容を見ながら自分たちに足りない議論がないかという視点を中心におしゃべりをする。その際、ホスト以外の三人は自分が④で参加したグループの模造紙について、自分が話し合いに参加したときに感じたことを含めて詳しく説明していく。この時間には、模造紙への書き込みはしない。

※この時間は教師が全体を一斉に動かす。「では右回りで移動します。一つの模造紙前でおしゃべりするのは三分とします。では、スタート!」と始めて、「三分です。移動してください」という指示を一回りするまで繰り返す。つまり、グループが10グループあれば約30分かかるということである。

⑥すべての模造紙の内容を見終えて、自分のもとのグループの場所に戻ってきた時点で、他のグループによって触発された新たな知見、新たな観点で足りないことを補うとともに、内容を再構成して、自分たちのグループの意見をまとめていく。時間は20分程度を目処とする。

⑦時間があれば、各グループがプレゼンをする。時間がなければ、模造紙を一週間程度掲示して、付箋紙で感想のやりとりをする。

※私がよく採る方法は、掲示された模造紙に付箋を貼らせる方法。廊下に掲示すれば他学級の生徒や教科担任の教師、管理職や保護者から感想がもらえる。感想を書く場合には必ず記名するように促す。無責任にさせないためというよりも、感想をもらった側がもっと詳しく聞きたいというときに聞きに行けるように。

以上からおわかりように、私にとって〈ギャラリー・トーク〉は、〈ワールド・カフェ〉の発展型として位置づけられています。〈ギャラリー・トーク型ワールド・カフェ〉といった趣です。

〈ワールド・カフェ〉の途中に〈ギャラリー・トーク〉を入れることには多くの効果があります。グループでの情報収集が常にレコーディングを媒介するために具体的になること、ファシリテーション・グラフィックの機能や技術にも話が及ぶこと、いっしょに移動するという活動が〈ワールド・カフェ〉以上にグループの一体感を醸成すること、などなどです。〈ワールド・カフェ〉以上に生徒たちがノること請け合いのアイテムです。

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