5月中旬チェックリスト
名古屋の学級づくりセミナーで提案した「学級開きから1ヶ月/チェックリスト」
1.生徒は自分に寄ってくるか
学級開き・学年開きから1ヶ月強。休み時間に学級で教卓に腰掛けているとき、巡視で廊下にいるとき、生徒たちがだれ一人寄ってこないとすれば、それは教師として過ごしてきた1ヶ月強の自分に何か問題があったと捉えるべきである。少なくともいっしょにいて楽しいとか、いっしょにいて安心感があるとか、そうした肯定的な印象を与えることができなかったということではある。こんなふうに謙虚に受け止めてみることが大切だ。
2.目があったときに、生徒が微笑むか
廊下で生徒と目があった。チェッと舌打ちをされたとする。腹が立った。しかし、こう考えてみよう。もちろん、この舌打ちをした生徒には問題がある。教師であろうとなかろうと、人の顔を見て舌打ちをするというのは、この社会ではあり得ないことである。でも、顔を見ただけで舌打ちをされる自分にも問題がある、と教師は考えるべきだ。少なくともその生徒にとって、顔を見ただけで舌打ちをしたくなるような教師になってしまっているということは確かなのである。関係づくりに失敗していることは明らかだ。これをすべてその生徒の問題と考え、自分に一切の責任がないと考えるのは教師の傲慢である。
生徒達との関係がうまくいっていれば、目があったとき、生徒達は微笑む。或いは笑いながら近づいてくる。更には近づいてきて話しかけてくる。1ヶ月以上もかけて良い関係を築いてきたならば、ほぼ間違いなくそうなる。関係がうまくいっているということはそういうことである。
3.生徒の小さな変化の理由を考えるようになっているか
ある生徒に何か小さな変化が起こったとする。名札にきらきらしたシールがついたとか、蛍光色のペンが2本、胸ポケットにささるようになったとか、眼鏡がコンタクトになったとか……。そのときに、注意したり声をかけたりするのは良いとして、「どうしてなのかな」とか「何か心境の変化があったのかな」などと、そうした行為の理由を考えるようになっているか。これが問題である。
理由を考えるようになっていれば、この1ヶ月間、その生徒がどういうものの考え方に基づいてどういう行動をとる傾向をもっているのかということを自分なりに捉えていたことを意味する。理由を考えないとすれば、この1ヶ月間、その生徒を漠然と眺めていたか、あくまで教師側の視点(例えば校則など)ばかりで指導してきたことを意味する。どちらも生徒観察としては下策である。
4.生徒の裏情報をにぎっているか
担任し始めて1ヶ月程度たてば、どの生徒とどの生徒が付き合っているのかとか、ブログをやっている生徒はだれでどんなことを書いているのかとか、できるだけこういう情報は捉えておきたいものだ。情報収集にとってこれほど有益なものはない。
5.生徒に身につけようとしている力が明確か
1ヶ月間でこの生徒に何が足りないのか、この集団にはどういう傾向があるのか、そういうことを自分なりに捉えて今後の方向性を明確にしておきたい。
6.次の手立てを考えているか
1ヶ月間にわたって生徒たちをしっかり観察し、一年間の見通しをもつことができれば、現在打っている手立ての〈次の手立て〉が常に意識されているものである。〈次の手立て〉を考えずに現在の手立てを打っているとしたら、それは「その日暮らし」と言われても仕方ない。
7.保護者と密に連絡をとっているか
問題傾向の生徒、不登校傾向にある生徒、支援を要する生徒……。1ヶ月間もあれば、こうした生徒たちの保護者には最低でも3回ずつくらいは逢っているべきである。もちろん原則として言っているのであって、個別事情のある場合はその限りではない。でも、忙しさにかまけて1回連絡したきりとか、なかなか都合がつかないということでなんとなくプリントを届けるだけになっているとか、そういう状況はやはりまずいと心得たほうが良い。
8.授業中に笑いはあるか
この時期、授業がシーンとしていたり、授業中に言った冗談がスルーされていたりということがあるとすれば、この先は覚悟しなければならない。自分と生徒たちとの関係に何らかの問題があると捉えたほうが良い。少なくとも関係がうまくいってないとはいえると思う。
9.授業づくりは楽しいか
この1ヶ月間がある程度機能していたとしたら、毎日の教材研究とか、毎日の教材づくりとか、要するに毎日の授業づくりが楽しいはずである。生徒のせいでも同僚のせいでもない、だれのせいでもない、自分自身のモチベーションが上がり、ポテンシャルが高くなっているはずだ。この自分の心象を自分自身に問いかけてみる……というのは、教育活動の成否を割と正しく示しているものである。
10.学年の中で自分のキャラクターが有益に機能しているか
そろそろ学年の先生方とも気心が知れてきて、転勤してきた先生の人柄も理解でき、転勤していった先生方のことを気にすることも少なくなり、学年団が〈チーム〉として機能し始める時期である。学年団の中で自らのキャラクターがプラスに機能しているかとか、自分のキャラクターとともに仕事をしている先生のキャラクターがうまくからんでいるかなんていう視点で、「自分のチーム」と「チームの中の自分」とを点検したほうが良い。
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