愛知・東京紀行
13日、金曜日。早起きしてビデオを編集。10時に家を出る。高速を飛ばしたら、40分程度で千歳空港着。チェックイン。さっさと搭乗手続きを済ませ、喫煙ルームで珈琲を飲みながら、学事から出るワークシート集の校正。
11:25のJAL。中部国際行きの飛行機は意外とすいていて、校正の手を止めて窓側の席に移る。ぼくは実は飛行機で窓側の席に座るのが初めて。いつもすぐに乗り降りできるようにと、通路側の席しかとらない。妻と二人で乗れば妻が窓側に座るから、当然ぼくは通路側。というわけで、これまで窓側の席にすわったこと自体がなかったのである。
窓から外を見てみると、北海道は雨だったというのに雲の上は最高のお天気。まあ、あたりまえだが。窓から下を眺めると雲の合間から新潟県の海岸線が見える。向こう側には雲平線とでもいうべき空と雲の境目。まあ、こういう景色は悪くない。日本列島を横断し始めたら尾根が見えてちょっと感動する。途中、「ただいま進行方向左側に富士山が見えます」とのアナウンスに左側の席に移って富士山を眺める。
中部国際に着くと、一路知立へ。ホテルクラウンパレス知立にチェックインし、すぐ裏にあるスーパーでお弁当を買う。味噌カツ弁当。なんと280円。部屋に戻ってお弁当を食べていると、学事出版の戸田さんから電話。彼女も着いたとのこと。早速1Fのティールームで打ち合わせ。2時間半ほど。新著の校正について、販促について、夏の会議について、新しい企画について、などなど。
18時過ぎに「中学校学級づくりセミナーin愛知」前夜祭会場近くの居酒屋に移って、更に打ち合わせ。途中からこのセミナーでぼくの担当をやってくれている澤田さんも合流してちょっとした打ち合わせと雑談。両手に花で記念写真をぱちり。20時30分から知立ホルモンにて前夜祭。神崎先生や堀川先生、長瀬くん、松久くん、たくさんの事務局の先生方や学生さん、そしてなんと多賀一郎先生も合流し、大宴会。神崎先生と楽しい会話。話を聞いているだけでも、力量の高い先生だとひしひしと伝わってくる。年齢も近い。良い人と出会うことができた。真理さんは借りてきた猫状態(笑)。彼女の真面目な本質が表情に出ていた。この日は明日に備えて23時30頃にお開き。
14日、土曜日。8時にホテルを出発して愛知教育大学へ。9時半から全体講座。100人の前で「空気づくり」のこと、「マネジメント10原理」のこと、「教師力ピラミッド」のことなどを60分ほどしゃべる。ぼくが何を言いたいのかというのはほぼ伝えることができたのではないか、そう自己評価している。その後、10分の休憩をはさんで60分の選択講座。こちらは「空気づくり」のこと、「縦糸・横糸論」のこと、「学級開きから1ヶ月のチェックリスト」のこと、「学級経営の相対評価」のこと、などなど。
昼休みに昼食を食べながら、授業づくりネットワークの記事にするための取材を石川晋から受ける。ほとんど雑談。これを晋がどう記事にするのか、楽しみである。午後は少し遅れて入る。神崎さんの講座を聞こうと思ったのだが、後ろの扉に鍵がかけられていて、前から入るのもどうかと思い、断念。桃崎さんの講座を拝聴。その後、ファシリテーションを用いて全体交流。愛知県
の
イベントでは初めてではないか……ということ。ずいぶんと盛り上がって、いろい ろな質問が出る。それに応える形で「学級経営の極意」が語られていく。初めてやったとは思えない、若手教師と学生さんのコラボファシグラが見事。どんどんファシリテーションの文化がぼくらの世界に広がっていく。嬉しいことでもあり、誇らしいことでもあり、そして今後への期待感を増幅させる動きでもある。
終了と同時に学食に移動して懇親会。ノンアルコールでオードブルなど。ビデオを見たり、現在の教育状況がどのような地点にあるかなどなど、石川晋や吉川裕子さん、若手講師の一人伊藤くんらとしゃべりながら、楽しいひととき。続いて二次会へ。知立駅前の居酒屋。神崎さんや楠本くん、松久くん、神山くん、近藤くん、澤田さんらとおしゃべり。そして真理さんと吉川さんとはかなりじっくりと語る。新潟も、そして立命館も悩んでいることの構造は同じである。途中から鈴木健二さんが来て意気投合。すずけん、おそるべし!とりあえず、年度内に鈴健さんと多賀さん、真理さんには札幌に来てもらおうと思う。札幌の仲間たちにぜひとも逢わせたい。こうしてつながることで、ぼくらのためになるのはもちろんだが、少しは教育界に貢献することにもなるはずである。つながること、つなげることで、教育に携わる者がほんの一部でも元気になれたら、それでいい。
15日、日曜日。8時過ぎにホテルを出て、名古屋駅で小倉トースト。うーん。ぼくには甘すぎる。小倉トーストを1/3ほどでやめて、9時20分ののぞみで東京に向かう。東海道新幹線には喫煙ルームがあって驚く。半畳ほどのスペースなのだが、これで十分。東海道新幹線はいい。途中に、ここでも「ただいま進行方向左側に富士山が見えます」とのアナウンス。ちょうど喫煙ルームにいたので、真正面に富士山を眺める。
東京都立産業技術高専に向かう。藤井省三先生、田中実先生とともに、魯迅の「故郷」を題材としたシンポジウム。藤井省三先生の著作は読んではいたけれど、すごかった。腰を据えて読み直そうと思う。当然のことながら、東大の先生にはやはり東大の先生としての実質がある、そう感じさせられた。素晴らしい先生だった。
事前から、ぼくはもう日文協への登壇はこれを最後にしようと決めていた。もうぼくの大好きだった日文協には戻らないのだなあ……と、心の底から思った。ぼくの発言の中に、日文協国語教育部会は現場の先生が文学と教育とを本気で結びつけようとしていた場だった。荒木繁先生も大河原忠三先生も太田正夫先生も、みんな文学を生徒の中に成立させることを目指した。大河原先生の最後の著作を読んでも、立場が研究者になろうと何になろうと、最後まで文学的認識に基づいた文章を綴らせることをこそ目的としていたことがよくわかる。
ぼくが言いたいことをひと言でいえば、「あなたたたちはそんな日文協を乗っ取ったんですよ。乗っ取ること自体は何事にも栄枯盛衰があるから構わないし、あなたたたちの言っていることに価値がないわけではないからぼくも実践に取り入れているけれど、ただ自分たちの文学理論を広めることだけを自己目的化して、文学と教育とを結びつけようとの本気の思いを継承しようとしないのは許せない。」ということに過ぎない。しかし、いまの日文協を見ていると、他団体に対する影響力をほとんどもたない、一部の文学理論カルト集団に近い形を呈している。あとは先細りになっていくだけだろう。10年後にはまただれかが乗っ取って、新しい日文協ができるに違いない。自分が本格的に参加するのはそれからでもいい。そんな気がしてきた。もう少し言葉は柔らかかったけれど、こんな感じの思いをぼくが最終発言として述べていたとき、田近洵一先生だけが大きく頷いていたのが印象的だった。
懇親会に参加して、19時20分に会場を出て羽田へ。20時30分の新千歳行きは超満員。通路側の席でワークシート集の校正をしながら、楽しく有意義な3日間に思いを馳せながら、新千歳から車を運転して帰路に就いた。家に着いたときには既に23時を大きくまわっていた。
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コメント
遅くなりましたが、愛知では、楽しい講座をありがとうございました。
「小学校の先生は一人で見ているから、だましやすい。」という言葉、心に残りました。ここまで言い切られると、気持ちがいい。
全くその通りです。だからこそ、小学校の教師は多くの視点と子どもたちとの関係づくりが必要なのでしょうね。
日にちさえ会えば、北海道へ飛んでいきますよ。
投稿: 多賀です | 2011年5月22日 (日) 23時00分
これは多賀先生!どーもどーも。2学期に必ず来ていただきますからね。
投稿: 堀裕嗣 | 2011年5月22日 (日) 23時35分