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切に祈る

阪神・淡路大震災/死者 6,434名/行方不明者 3名/負傷者 43,792名

地下鉄サリン事件/死者 13名/負傷者 約6,300名

これからどうなるんだろう……/だれもが不安を感じていた1995年/きみたちはだれもが祝福した/この国の希望だった

復興に向けて

ちまたではこんな曲が流行っていた……

阪神・淡路大震災と地下鉄サリン事件の報道映像のあとにこのメッセージを流して、「ズルイ女」「Man & Woman」「Tomorrow」「ロビンソン」「Love Love Love」の5曲に載せて、3年間の想い出のビデオ・スライドを流す。これが送別集会の映像だった。23分ほどである。

3年生の生徒たちに、この国が不安に包まれた中で自分たちが産まれ、だれもが自分たちに希望を託していたのだということを知って欲しい。そういう想いを込めてつくったものだ。その送別集会の真っ最中、全校生徒・全職員が体育館に集まるなかで、あの長い地震が起きた。まさかこんな形で、この国の哀しみと、そしてこれからおそらく為されるであろう復興に向けて、新たな命に希望を託すという心象を、彼らが実感するであろうことなど予想だにしなかった。なんとも複雑な気持ちである。

ついさっき、煙草を買いに近くのコンビニに行った。金曜日の夕方に帰宅して以来、初めての外出である。札幌には日常があった。近くに住む、もう80をゆうに超えたおじいちゃん、おばあちゃんが温かい陽射しの中で家の前の氷を割っている。北海道にやっと春が訪れつつあることを垣間見せる光景である。

彼らにはこういうときこそ日常を過ごすことの大切さが染みついており、そのとおりに行動するという、いわば〈倫理〉があるように思う。自分のできること、やるべきことに取り組みながら、ただただ時が過ぎるのを待っている……、しかし、今回の震災で自分に何かできることが見つかればいつでも応える用意はもっている……そんな〈倫理〉である。

記者会見の度に枝野官房長官の表情に疲れがにじみ出る。不眠不休の緊張感ももう3日目である。頭の下がる想いである。各地で死亡が確認されたり行方不明になった地域のお巡りさんが報道され始めている。おそらく避難誘導をするうちに、或いは逃げ遅れた人たちを探すうちに波に飲まれたのだろう。少し落ち着けば、これから消防や自衛隊の報道も始まるはずだ。そして授業中の子どもたちをなんとか助けようとした教師の姿も報道されることだろう。そういう非常事態においては、命を賭けなければならないのが公務員の立場である。そのことを我々はまた実感することになる。その覚悟のない者は公務員になってはいけないのだ、と。

テレビを見ていると、避難所となっている学校の校長先生や教頭先生が電話を通じてコメントを寄せている。いま何が必要である、何が足りないと声をあげている。さきほど函館の藤原くんと連絡をとったが、津波の影響の出た地域では校区巡視をしている。岩手の佐藤正寿さんのブログを読むと「これから遠く離れた職場に向かいます。教師としてすべきことに力を尽くしたいと思います。」との言葉があった。ぼくは自宅である。札幌が被害のなかった、安全な場であったことを実感させられる。

もう阪神・淡路を超えてしまうことが決定的になってしまった国家的災厄のなかで、一人でも多く救出されることを切に祈る。

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