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自己アピール文/推薦書/個人調査書

進路指導において負担になるのが進路事務です。それも師走の忙しい時期に一気に押し寄せてくるわけですから、少々やっつけ仕事に陥ってしまうことも……。しかし、生徒たちのことを考えればできるだけ丁寧に緻密に行うことが必要です。今回はそのための観点です。

進路事務として学級担任が取り組まなければならないこととして、個人調査書・推薦書・欠席事由書等があります。また、具体的な入試に伴う指導事項として、推薦依頼書・自己アピール文・小論文・面接等が挙げられるでしょう。ここでは便宜的に、前者を「進路事務」、後者を「進路指導」と呼ぶことにしましょう。

一般に、学級担任は進路事務は進路事務として、進路指導は進路指導として、ともに独立した、一般的な取り組み方をしがちです。しかし、受験者を選抜する高校側からみれば、「進路事務」と「進路指導」とは一人の生徒の特徴を知るための資料として連動しているはずです。進路に伴う事務や指導においてまず大切なのは、この観点です。

例えば、ある生徒の推薦書に次のように書いたとしましょう。

「中学校3年間の学校生活では貴校に進学するために様々な分野のことに挑戦してきました。」

この言葉は確かに褒め言葉です。担任として推薦に値する生徒であるというアピールでもあります。しかし、これを高校の先生が見たらどう思うでしょうか。「様々な分野って何だろうか」と思うのではないでしょうか。そして生徒は、面接で「どんなことに挑戦したの?」と問われてしまうのです。

生徒は「○○に取り組んできました」と、一つか二つ、その例を答えます。しかし、「様様な分野」というわけですから、それは一つや二つではないはずです。少なくとも面接官はそう感じます。推薦書におけるこうした抽象的な書き方は、面接において面接官にマイナスイメージを抱かれやすい記述なのです。

推薦書や個人調査書の所見といったものは、できるだけ細かな項目を数多く挙げて、更にその具体的な意見・事例・エピソードなどを面接用に用意させておく、といった面接と連動させた考え方が必要なのです。

第1条 所見スペースは適度な字の大きさですべて埋める。

教務部として推薦書や調査書を点検していると、よくスカスカの所見を見ることがあります。スペースを埋めることは、社会人としてのマナーです。

第2条 一文一義を基本とし、重文や複文はできるだけ避ける。

一つの文は一つの意味で構成する。複雑な構成の文は二分に分ける。この二つを実行するだけで文章はずいぶんと読みやすく、わかりやすくなるものです。

第3条 志望の動機は、職業科の場合には将来の希望職業と、普通科の場合には高校の特色と関連させて書く。

最も大切なのは志望動機です。職業科にしても普通科にしても、なぜその高校なのかという意思表示をできるだけ具体的にすることが大切です。

第4条 可能な限り、数多くの項目について取り上げる。

第5条 所見に書いた内容はすべて面接で訊かれることを想定し、生徒と事前打ち合わせをして意見・事例・エピソード等を用意させる。

第4・5条については本文に書いたので詳述しないが、この二点こそが進路書類の所見を書く現実的な目的なのだと肝に銘じたい。

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