学級経営10の原理・100の原則
『学級経営 10の原理 100の原則/困難な毎日を乗り切る110のメソッド』堀裕嗣・学事出版・2011.03.17初版
3月です。この本の第1章の題材となっている学級開き・学年開き関係の記録をご希望の方に添付メール(一太郎)でお送りします。ご希望の方はこちらにお名前と勤務校をお書きの上メールをください。
編集の戸田さんに頑張っていただいて、ぼくの本としてはかなり読みやすいものになっている。イクタケマコトさんのイラストも内容にマッチしていて、表紙カバーの装丁も気に入っている。出来上がるまで1年半ほどの紆余曲折があったこともあって、著者として満足感とともに大きな喜びも感じている。
基本コンセプトは、「学級経営に失敗できない時代になった」という前提のもとに、まずは非凡な実践に憧れる前に平凡なことをしっかりと基盤づくりとして意識しよう、というものである。いま、勤務校でつまずき、ひとたび目に見えた失敗してしまうとなかなか浮上できない現実がある。生徒も保護者の中には、一度失敗した先生としてずーっと記憶に残る。下手をするとネット上に記録としてまで残ってしまう。そういう時代になった。同僚や管理職もかつてほど頼りにはならなくなっている。もちろん指導に加わってはくれるのだが、かつてのような精神的な支えとしてはなかなか機能してくれなくなった。「成功すること」よりも「失敗しないこと」が大切な時代になってきている。
教師は「成功」に憧れる。非凡な教師が非凡な実践をしていると、「よし!自分も」となる。これは人としてあたりまえの思考回路でもある。しかし、「よし!自分も」と始められる実践の多くは成功しない。非凡な教師の実践が「平凡の上に築かれている非凡である」ことに、彼らが気づいていないからである。非凡なまでに生徒たちを引っ張り、非凡なまでに自己実現しているように見える教師の実践は、その前提にやるべき平凡なことが積み重ねられ、それを基盤として成り立っているのである。若い教師はそれに気がついていない。これまで若さで乗り切ってきたのだが、最近どうもうまくいかないと嘆いている中堅教師もそれに気がついていない。最近子どもがわからなくなった、最近子どもが変わった、自分のやり方ではもう通用しないのだ、やめたい……と嘆いているベテラン教師もそこのところに気づいていない。
この本は徹底的に学級経営の基盤となる「平凡」にこだわった。それもかなり細かいところにまでこだわった。学級経営で決して蔑ろにしてはいけないマネジメントの10原理、そして「学級組織づくり」「席替え」「給食指導」「清掃指導」「ショート・ホームルーム」「リーダー育成」「学力向上」「家庭訪問」「通知表所見」「職員室の人間関係」という10項目について、それぞれ10原則を提示した。どれも臨機応変性の求められる領域ではなく、基本原則に則って指導にあたることで、まず間違いなく失敗を避けられるといういわばコンクリート領域ばかりである。
生徒指導や教育相談、不登校生徒の対応や特別な支援を要する子の指導など、臨機応変性の求められる領域については次著で……という予定である。
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