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SCARBOROUGH FAIR/MARIANNE FAITHFULL

51n3bgnizl__sl500_aa300_THE BEST HITS 100」という5枚組の企画盤シリーズがある。いろいろな企画ものがあって、ぼくも何セットか購入して聴いている。その中に「FEMALE VOCAL」という企画があって、買ったままずっと封を開けることもなくCDラックに眠らせていた。昨日あと目がとまって、1枚目から聴き始めた。初めて聴く曲、懐かしい曲、どこか聞き覚えのある曲、ちゃんとアルバムをもっていていつも聴いている曲、いろいろあるわけだが、2枚目の12曲目に聞き慣れた曲なのになんとも新しい世界観を垣間見せてくれる、そんな曲があった。

SCARBOROUGH FAIR/MARIANNE FAITHFULL

1966年というから、ぼくの生まれた年のリリースである。こんな美しい「スカボロー・フェア」をぼくはいまのいままで知らなかったのかと、公開とも懺悔ともつかない不可思議な感慨を覚えた。遅ればせながら出会えて良かったとも感じた。

マリアンヌ・フェイスフルといえば、一時期、ミック・ジャガーの恋人だったか嫁さんだったかした人だ。その程度の知識というか、認識しかなかった。女優かモデルだと思っていたのだが、シンガーだったのか……。そもそも顔も知らないのだから、そんなことを知るはずもない。

それにしても、それまで知らなかった新たな歌を聴いてこんなにも感動したのは久し振りのことである。もういつ以来のことなのか思い出せないほどに久し振りだ。

今夜はこれ1曲を何度も何度もリピートしながら、ゲラと向かい合った。ぼくの場合、美しいボーカルは仕事の集中力を高める。アイディアも出るし、原稿執筆も進む。今日もそのジンクスが証明された。何度か聴き入ってしまうことはあったけれど、校正を今日中に終わらせることができたのはこの曲のおかげである。

美しい曲に出逢うと、それもずいぶんと前からこの世に存在していたそれなりに古い曲に出逢うと、これまでその曲を知らなかった自分の人生が急に色褪せて見えてくる。あのときこの曲を知っていれば異なった選択がなされたのではないか、あのときこの曲を知っていればもっと早く哀しみは癒えたのではないか、そんなふうに思えてくるのだ。

逆に、いまこのタイミングでこの曲に出逢えたことには何か意味があるのではないか、この曲との出逢いがこれからの人生を充実させる契機になるのではないか、そんなあり得ない妄想も抱いてしまう。ぼくにとって美しい音楽はそれほどに重要なものである。

マリアンヌ・フェイスフルの「カスボロー・フェア」はそれほどに美しい。

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