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全力で取り組む

万引き:女性教諭、容疑で書類送検-江迎署/長崎

江迎署は10日、佐世保市内の公立小学校の女性教諭(51)を窃盗容疑で地検佐世保支部に書類送検した。/送検容疑は1月18日午後6時ごろ、佐々町内の大型量販店で、持参したバッグに衣類など32点(約1万3000円相当)を入れて、精算せずに店外へ出て万引きしたとしている。目撃した警備員に店外で呼び止められた。同署によると、女性教諭は容疑を認め「出来心でやった」と話している。事件当時、万引きした品物を買えるだけの所持金があったという。/中島正大・同市教委学校教育課長は「県教委に『相当の処分』をお願いした。再発防止に全力で取り組む」と話した。市教委は相次ぐ不祥事を受け、先月末、防止マニュアル書などを各校長に配り再発防止を呼び掛けた。〈毎日新聞/長崎版〉

この新聞記事もそうなのだが、公務員の不祥事があるとお役所は必ず「再発防止に全力で取り組む」と言う。いじめ自殺の訴えとか体罰とか、学校の教育活動に直接的に関わることで「再発防止に全力で取り組む」ならわからなくもみないのだが、教諭の万引き事件に対する全力で取り組む再発防止とは、いったいどのようなものなのだろうか。

たぶん学校教育部長とか教育次長が前校長を集めて指導し、それを受けて各学校で服務規程が全職員に再度配布され、臨時の職員会議を開いて校長から指導する、というよくあることを指しているのだろう。しかしそれは果たして「全力で取り組む」なのだろうか。服務規程など毎年配られているものだし、ほとんどの教員は万引きなどしない。21世紀になって万引きで捕まった札幌市内の教師は、ぼくの記憶では一人だけである。捕まっていない事案がもしかしたら1件か2件あるのかもしれないが、おそらく実態としての万引き件数も多くてその程度だろうと思う。

中学生や高校生ならいざ知らず、教員は通常、というよりも少なくともまともに給料をもらっている公務員という太ぢはの人間は通常、万引きなんていう犯罪は犯さないものである。同僚が呑み会で「オレ、万引きしたさ」とか、「あの店は店主の監視が甘いから万引きしやすいぜ」などと言っているのを見たこともないし、そういう噂も聞いたことがない。それは教員のわいせつ事件よりももっと少ない、珍事中の珍事である。

そんな特殊な事案について「再発防止に全力で取り組む」と言う。全力で取り組まなくても、もっといえば放っておいても、そんな事件は再発しない。そもそも万引きできるような安いものなら、公務員は買える。給料日前で財布が軽かったとしても、そんなことで懲戒免職になる可能性を賭けて万引きしたりしない。そんな程度のもので、そんな軽微な犯罪(といっては申し訳ないが)を犯すほど、教員も馬鹿ではない。そういや札幌の万引きで逮捕された教員が盗んだのは、アフリカの珍しいインコとインドネシアの珍しいカメだった。両方あわせて20万円以上だったと記憶している。それでもみんな「馬鹿だなあ……」と言っていた。それなのに、今回は1万3千円である。こんなものはそうそう再発しない。

今回、佐世保市教委は「防止マニュアル書」というものを作って各校に配布したそうである。どのような中身なのか、とっても見てみたい。佐世保市教委のHPを見てみたが、さすがに載っていない。これを後悔して欲しいなあ……。「通達」じゃなくて「マニュアル」ってとこに興味がある。とっても興味がある。

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