学級経営10の原理・100の原則
「学級経営10の原理・100の原則~困難な毎日を乗り切る110のメソッド」(学事出版)の校正が終わりました。今回のコンセプトは若手・中堅の教師にまずは「成功する学級経営」ではなく、「失敗しない学級経営」の在り方を学んでもらおうというものです。あと数週間で書店に並ぶわけですが、ぼくがどういう思いでこの本を書いたのか、あとがきをもってお知らせしたいと思います。
【あとがき】
2005年のことですから、新卒から15年目のことです。
私は札幌市の小さな学校の学年主任になりました。そこで3学級101名の生徒たちを受け持って3年間を過ごしました。この3年間、私の学年には新卒教師が毎年配属されました。特に1年目は担任3人が30代半ばから後半。副担任は大学出たての新卒が2人。こういう学年団でした。
中学校教師ならわかると思いますが、4月、学年の仕事のすべてを担任3人でしなければならない状況に追い込まれたのです。新卒2人に何かをやってくれと頼んでも、一つ一つどうすればいいのかと尋ねられるに決まっています。年度当初、それに丁寧に応えている時間はありません。正直、これはかなわんなあ……と思いました。
しかし、年度当初をなんとか乗り切ると、このままではいけないと思えてきます。この2人を育てないことには仕事が立ちゆかない。当然のことです。私はこの2人を毎日観察しながら、どう育てるか、何を伝えればいいかということを考え続けました。
2年目にはこの2人のうちの一人が二組の担任となり、2年・3年といっしょに持ち上がっていきました。私はこの2年間も、彼がどんなことに失敗し、何に困っているのかを観察し続けました。それと同時にかなり厳しく指導もしました。生半可な新卒なら耐えられなかったかもしれません。しかし、その結果、彼は3年目にはもうそのへんの中堅よりも学年全体のことを考えて動ける教師になっていました。年度当初の学活計画とか、総合の校外学習の計画くらいなら、もう彼は3年目で大過なくやっていました。学級経営も安定し始め、次第に私が厳しく指導することもなくなっていきました。
本書はこの若者を筆頭に、この3年間に新卒教師4人に指導した内容をもとに構成しました。 本書を上梓するにあたって、いまはもう一本立ちしたと言って過言ではないこの4人の若者、高村克徳先生、齋藤大先生、佐藤恵輔先生、仙臺直子先生に感謝の意を伝えたいと思います。また、この学年を3年間、ともに運営し支えてくれた高橋美智子先生にも感謝申し上げます。この5人がいなければ、本書の基本コンセプト自体があり得ませんでした。
もう一つ、本書の内容にあたる原理・原則が固まるまでには様々な紆余曲折もありました。当然のことながらすべてが成功したわけではありません。その意味で、あの3年間に受け持った生徒たちにも感謝を申し上げたいと思います。
最後になりましたが、わがままな私と本書完成までお付き合いいただいた編集の戸田幸子さん、そして味のあるイラストで彩りを添えていただいたイクタケマコトさんに感謝申し上げます。
2011年元日 自宅書斎にて 堀 裕嗣
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