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交流学習を導入する効果

ネットワーク千歳で言い残したことの二つ目。

「授業をワークショップ型に転換しよう」とか「授業に交流を導入しよう」とか言う場合、よくされる誤解の例が、「すべての授業をそんなふうに変えられるわけがない」というものです。これをぼくは〈全か無か発想〉とか〈To be or not to be 発想〉とか呼んでいますが、こうした批判は「現在のすべてが一斉授業で進められている授業をこれからはすべてをワークショップでやれというのか」という考え方です。

もちろん、そうではありません。

ネットワーク大会2日目のコメントでも言いましたが、例えば全授業時間の3割くらいをワークショップ型を基本とした授業構成にする。残り7割は一斉授業。一斉授業はなんだかんだ言っても必要ですから。なんとしても日本国民として身に付けさせなければならない指導事項というのはあります。

ただし、この7割の一斉授業にも、8~10分程度のグループ交流の時間を必ず入れると決意するわけです。少なくとも1回。できれば2回。

そうすると何が起こるか。

一つは、一般に、子どもたちに交流学習に取り組ませることによって身につくとされるコミュニケーション力に良い傾向が生まれます。これはもう説明の必要はないでしょう。

しかし、もう一つ。実は一斉授業にもいい影響が出るのです。三つあります。

第一に、一斉授業時間が短くなることによる子どもたちの集中力が持続すること。これは交流は最後に入れるものだという固定観念をもっている方にはわかりづらいかもしれませんが、1時間の授業において交流は最初に入れてもいいし、真ん中に入れてもいいのです。また、2回入れる場合なら最初と最後とか、最初と真ん中とか、真ん中と最後とか、中間に二連チャンとか、いろいろバリエーションはあるわけです。そうすると、授業が基本的に2分割になったり3分割になったり4分割になったり5分割になったりするわけですね。必然的に一つ一つのパーツ(たとえ講義式であっても)に対する集中力を高めることができます。

第二に、子どもたちの中に交流するためにはこの説明を理解しなければならない、という意欲が生まれること。某かの前提的な説明や講義なしに交流ということはあり得ません。そうすると、このやり方を繰り返していると、必然的にその構造に気づいた子どもたちが説明や講義のハーツにも、交流における情報収集という意識をもつようになります。

第三に、教師の一斉授業の指導技術が上がること。交流を一度入れると10分、交流を二度入れると20分、教師がしゃべっていい時間が減ります。最後に全体シェアを入れるようにするともっと減ります。そうすると、発問・指示・説明を何度も言い直したり、要領を得ない説明をしていたのでは、時間が足りなくなるわけです。リズムやテンポも身に付けざるを得なくなります。授業技術のない人の一番の要因は実は時間意識がないことです。どんなのんべんだらりとした人であっても、時間が少なくなれば短い時間で適格にポイントをおさえなければ……と考えるようになります。授業技術の向上はまずこの意識に立てるか否かがその成否を決めるのです。

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