社会的な矛盾を感じる
「ミス日本」の準ミス二人に中学生が選ばれたという。
これまでに中学生がどの程度選ばれているのか知らないのでなんとも言えないのだが、少なくともぼくは「えっ?中学生?」という感覚である。何も中学生を選ばなくても……という気がする。プロフィールを見ると、趣味・特技がクラシック・バレエであったり琴であったり、それなりの品格はあると見なされたのかもしれない。
どうもこういうエンターテインメント的に女性を見る視点が、90年代後半あたりからどんどん対象年齢を下げてきているのではないかということが、ずっと気になっている。スピードに小学生がいたり、モーニング娘に中学1年生がいたりしたときにも驚いた。あまりよく知らないけれど、AKB48にもきっと中学生がいるのだろう。
ちょうどぼく世代のその手のアイドルとして話題になったのはおニャン子クラブだったのだが、彼女たちの多くは高校生であり、それもオーディションに合格したのは3年生が多かった。おニャン子が流行ったのは1985年、ぼくは浪人生だった。つまり19歳である。内海和子とか城之内早苗とか山本スーザン久美子とか、名前を忘れてしまったたが秋元康の嫁さんとか、そのあたりがぼくと同い年だったはずだ。新田恵理とか名越美香とか「わたしリカちゃん」を歌っていたなんとかリカなんかは、ぼくよりも年上だったはずである。つまり、既に成人していたはずなのである。河合その子なんかはだいぶ上だったと記憶している。ピンクレディーは確かデビューが19歳だったはずだ。あの時代、性的なイメージを加味して売り出すのは若くてもそのくらいだろう……という暗黙の了解があったのだと思う。
花の中3トリオは中学生のうちはバラエティでも歌詞でも性的なイメージは付与されていなかったように思う。山口百恵がはどうだったろう……。いまひとつ記憶が定かではない。
確かに、かつてこの国は15歳になればもう子どもを生んでいるというのが当然の国だった。その感覚に戻ったのだというなくもない。戦後の一時期が歴史的には異端だったのだ、と。しかし、一方で児童買春・児童ポルノ処罰法や先般の東京都条例の問題など、政治的には中高生に性的イメージを付与しない方向で動いているというのに、その隙間を縫って、批判されない領域ではどんどん従来の成人前後を基準として動いていたものが低年齢化しているという現実。
どうもここに社会的な矛盾を感じる。
ぼくが中学校教員であることが大きく影響しているのだろうが、あまり女子中学生をそういう世界に巻き込んで欲しくない、というのが本音である。
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