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空中戦と地上戦をバランスよく展開する

京都の「明日の教室」が近づいてきた。

今日は割と早起きをして、特に仕事をすることもなくテレビを見ていた。録り溜めておいた新春のドラマの第一話を全部見て、どれとどれを連続で見ることにするかを決める、そんな一日である。

心理分析の刑事ものが2本。主演は松下奈緒と船越英一郎。どちらもホップ心理学を出ていなくて見る価値なし。「臨場」第一話を見たときのような、そうか、こういうことなのか、というような現実感もがない。

次に田村正和主演の大規模な法廷もの。これは大作志向なのはよくわかるし、見続ければきっとおもしろいのだろうが、見るのに疲れそう。ぼくには向かない。ぼくは「白い巨塔」とかなんとか一族とか、そういうのが苦手である。ああいう世界は2時間半ほどの映画とか、時間のあるときに小説で読むもの……という意識がある。心理戦というのは伏線が全部頭に入っていないと見られない。それが連続ドラマで10回程度となると疲れてしまう。そういうことだ。その点、「相棒」とか「古畑」は心理戦をきっちり1時間で描いてくれるいいドラマだった。

次いで高橋克典主演の完全なエンターテインメントを志向した無鉄砲な所轄もの。今回見るのはこれに決めた。気楽に見られるし、内山理名も出ているではないか。もうこれに決めた。ぼくは内山理名が大好きである(笑)。たぶん2000年代前半を代表する大女優になると思う。

とまあ、こんな4本のドラマを見ながら、なんとなく「明日の教室」で何をするかを考える……そんな一日だったわけである。その結果、結局、若い人も多いし、国語を専門としない先生も多いようだから、基礎的な国語科授業のつくり方について講座をしようと思い至る。1時間程度の講座で理念的な難しいことを語っても仕方がない。授業技術の講座にしよう、と。そう決意した。

ドラマを見終わり、風呂にはいり、PCに向かうと糸井さんがブログに「明日の教室」のことを書いていた。そうか、「読み解く」っていうテーマを与えられていたっけ。糸井さんはぼくに本格的な講座をやれと言っているわけだ。それじゃあ仕方がない。中1教材の批評の講座をやるしかない。しかも体験的に。それならいつもやっている講座になる。何も準備はいらない。

結論もはっきりしている。「読み解く」っていうことは、結局、どれだけレベルの高い視座に立てるかということにかかっている。有能な人間とそうでない人間との差は、自分の世界観だけものを見ているか、自分の世界観を俯瞰する地点からものを見ているか、その差である。俯瞰すれば自分を相対化できるし、俯瞰できなければ自分の経験を絶対視する。構造的にはそれだけのことである。

あとはどれだけ俯瞰のレベルを上げられるかということ、そして俯瞰すればするほど離れていく地上の物事との関係をどれだけ精緻に結びつけていられるかということ、この2点である。地上の物事と切れてしまったら現実離れした形而上学になり、世の中に不必要な論理になる。あくまでそれだけは避けるというストイックさを見失わない形而上学、そういうことである。

国語科の授業づくりも同じである。どれだけ地上戦を展開しながら上位の視点をもたせるか、空中戦を展開しながらいかに地上との連絡を維持させるか、そこに意識を集中すればいい。理屈としてはこういうことである。

さて、「明日の教室」が準備いらずということになると、次は5日のワールド・カフェだな。これは岡山さんのあとだから、けっこう大変だ(笑)。12日の累積国研と19日のブラッシュはコメンテーターだけだから、ワールド・カフェさえ完成させれば2月は乗り切れるということである。その次のイベントは3月下旬。2ヶ月近く、本の執筆に専念できそうである。有り難い。

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