謎解き
夕方から録画しておいたドラマを1本見て、その後、仕事を始めた。「授業づくりネットワーク」講座のPPTづくりである。「私の考える学びのしかけ」というミニ講座だ。
いつも思うことだが、30分講座を体験型にするのは大変である。これは一方的に語ることを想定しての時間設定なのだろうか。いや、そんなことはあるまい。それじゃあ「学びのしかけ」の講座にならない。名が体を表すのと同様、講座内容が体験交流型を志向しているときには講座の仕立て方も体験的であらねばならない。それがこの世界の常識である。
しかし、そうなるとやたらと難しい。30分で全体をおさめるということは、ネタ自体は10分、長くても15分が限界である。ぼくは重厚長大志向の人間なので、そういうネタを持ち合わせていない。
いや、音読とか暗唱とかちょっとしたゲームとか、そんなネタならあるにはあるが、そんな提案はだれも聞きたくはないだろう。だれも聞きたくないというより、正直に言えばぼく自身がやりたくないのだ。そういうネタにはオリジナリティがない。修正追試か構想追試、せいぜいそれらの追試の組み合わせに過ぎない。ぼくはプライドが高いのか、追試実践を提案しようと考えたことがない。そんなものをするくらいなら、本を紹介したり先達を紹介したりしたほうがいい。
それでもなんとか形にして、完成させることができた。話の内容を割と流動的にできるように構成した。この講座は4人が30分ずつ並列的に提案することになるので、前の提案を受けてしゃべらなければならないことが生じてくる。これはまず間違いない。
それにしてもこの冬休みは、仕事がやってもやっても終わらない(笑)。なんでこんなに集中したんだろう。自分でもよくわからない。珍しく焦りがある。雑誌原稿がたまたま4本集中したことも大きいことだし、冬休みの後半がネットワーク大会と新潟視察で当てにできないという事情もある。
いつもなら「ことのは合宿」の準備だけをじっくりとするのが習わしなのだが、今年は合宿がない分、予定を積み込みすぎたのがいけなかったのだろう。もう一つ、毎年冬休みはじっくりと落ち着いて取り組むタイプの仕事をしていたのだが、今年の冬はサクサクっと仕上げて「はい、終わり!」という仕事の連続である。これがぼくの冬の波長に合わない。
背中に電気ストーヴを浴びながら、好きな音楽を流しながらPCに向かっているスタイル自体は例年と同じなのだが、いつものような「この提案に須貝さんはなんと言うだろう……」とか「この論理に田中さんは反対のはずだから議論しよう……」とか、そういうことを考える楽しみがないのだということに、いま気がついた。「ことのは合宿」って、やっぱりぼくの波長に合っていたんだなあ……と改めて認識させられた。
おまけに今年は難解教材に取り組むという、なんというか、「発見の楽しみ」とでもいうべきものがない。ぼくという人間はどうしても、難解なものを読み解くことに興味をそそられるタイプのようだ。新しい授業方法を開発するとか、新しい交流方法を開発するとか、新しいシステムをつくるとか、そういうことにはどうしても夢中になれないタチのようである。「だいたい、その程度のことならぼくが開発しなくてもネット上に転がってるだろう……」という思いが、どこかにある。
そうだ。ぼくは何より「謎解き」が好きなのである。
夕方から見たドラマは「赤い指」。東野圭吾の加賀恭一郎ものである。これがなかなかの出来。先日は南果歩に感動したが、今回は何と言っても佐々木すみ江である。目がいい。さすが大ベテランで、ドキッとさせる目を随所で見せる。本当に演技なのかと思わせる目である。杉本哲太もよかった。なんとも元銀蝿一家とは思えないような充実振り。いい役者になったものである。このドラマもまた回想シーンの使い方が非常にうまくて感心させられた。山崎努・西田尚美・富田靖子・松重豊と、名優が脇を固めていたのも嬉しかった。主役の阿部寛や溝端淳平もまずまず。ぼくの嫌いな女優黒木メイサが邪魔だった。つい先日会ったばかりだというのに、母に会いたくなった。いずれにしてもよくできたドラマだった。ただ内容的にはベタが過ぎていたけれど……。
このドラマも「謎解き」だったわけだが、少々、その「謎解き」の設定に無理があった。東野圭吾の原作を読んでいないので、原作どおりの設定なのかどうかがぼくにはわからない。まあ、いずれにしてもそれらのまずさを佐々木すみ江の演技が帳消しにしていた。すごい女優である。
※CHET BAKERの「MY IDEAL」を聴きながら……。
1954
高校時代にジェリー・マリガン・カルテットをFMで聴き、アルバムを買った。それと同時にカルテットのトランペッターとしてチェット・ベイカーを知った。ところが、彼がボーカリストでもあることを知って、このアルバムを買ってみた。よく言われる中世的なボーカル。いまもときどき聴く。今日も夜の仕事のBGMにずっと聴いている。いま、4度目のリピートである。
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