「第16回・中学校学級経営セミナーin札幌」終わる
16回目を数える国語科授業づくりセミナー。年末の「授業技術」「説明文」に続いて今回は「物語」。音読/設定/構成/描写/対比・類比/視点/主題/QAという8講座。講師は堀・山口・藤原・山下・大谷・太田・南山の7人。参加者は20名。和気藹々のいい会でした。
第一講座はぼくの音読。「夏の葬列」を用いて、授業スタート時の範読・追い読み・斉読・一文交互読みの流れ、16の音朗読技術の紹介、途中に音読交流を少しだけ入れて、講座としてはまずまず。
第二講座は山ちゃん。設定の講座なのだが、設定概念をおさえるのに看図を使っていたのが出色。その後、設定を読み取る例として提示した教材「お手紙」が少々簡単すぎたのが難点か。何をするにしても参加者にある程度の抵抗をもたせて、「必然性」をつくるということが必要なのだが、そのあたりの意識が山ちゃんにはまだ弱いのかもしれない。
第三講座は藤原くん。石原千秋の「読者はどこにいるのか」を下敷きに、物語の4つの構成を紹介、「おにたのぼうし」を使って境界領域にある作品内アイテムについて分類し交流する授業。なかなか練られた講座構成だが、藤原くんが考えているよりも教材内容に曖昧さがあった。出入り口のはっきりしているファンタジー構造を紹介しながらも、もってきた教材がメルヘンだったというズレが参加者を混乱させた原因。ただ提案としては新しい。
第四講座は山下くん。「人物描写」と「情景描写」の概観し、その後、小5の新教材「のどがかわいた」(光村)を用いて人物の関係構造、情景描写と登場人物の関係について描写を関連させながら読み解いていく。教材研究のしっかりした講座。ただ描写の読み取りの一般化に弱さがあつたことは否めない。教材がいい教材ではないのだが、教師の興味を惹くようなおもしろい教材であったことが功を奏した感じの、賛否両論の講座だった。
第五講座は大谷さん。対比・類比を「きつねのおきゃくさま」を使って概念的に整理したあと、安西冬衛の「春」を用いて対比による深層義を読み取る授業を展開。これは45分を肘用に有効に使った出色の講座だった。素人参加者にとっては対比・類比の概念がよくわかり、玄人参加者にとっては対比・類比の目的が伝わった。講座時間があと15分長くて60分だったら、かなり交流時間を確保することができのに……という講座でもあった。
第六講座は太田くんの視点。昨年11月末に急遽依頼したのだが、よく勉強してもってきたな……とある種の凄味を感じさせる講座だった。本人はずいぶんと緊張していたようで、早口になっていたが、視点概念とその読み取り方に関しては概ね良し。短時間でよくここまで整理したなという印象。「お手紙」を用いて視点の転換を扱ったわけだが、参加者もその構造がよく理解できたはずである。学習活動の作り方に工夫があればもっと良かっただろうが、それはかなり高度な要求である。今後に期待。
第七講座は南山さんの主題。「大造じいさんとがん」を用いて主題の読み取り方を練習したあと、「はな」という新美南吉の教材を用いて参加者に個人による主題の読み取りをさせた。時間を勘違いしていて常に時間が足りない状態で進んだのでついていけていない参加者もいたようだが、やろうとしていることはよくわかった。主題の読み取りについては、まずは単純化して練習することの必要性を説いた講座である。
第八講座はいつもながらのQ&A。おもしろい質問というか、的確な質問というか、話題の広がる質問というか、そういうものが多くて、かなり議論としては深く、難しくなってしまったかもしれない。しかし、司会をしていたぼくから見ると、参加者の表情は明るく、しかも集中しながらメモを走らせていた。緊張感と笑いが混在したいい時間だった。
終了後の小宴も楽しかった。兒玉くんは本当におもしろいキャラクターである。新しいネタもたくさん聞いた。裕章さんがいなくて残念だった(笑)。
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