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授業づくりネットワーク2011冬in千歳

ひと言でいって「いい会」だった。

いろんなことがなごやかに進んだ。青山・中村・長瀬という講師陣は想像をはるかに超えて味のある人たちだった。最後の岡山さんのファシリテーションもうまく機能した。二日間を通して「学びのしかけ」という概念がある程度は参加者に落ちた、そういう会になった。まさに新時代を切り開く第一歩と呼んでいい、そういう会にもなった。長くネットワーク北海道に携わってきた乙部くんの感無量の声と表情も印象的だった。総じて、とても温かいイベントになった。

参加者は例年よりも30人くらい少なかっただろうか、90名である。テーマが難しかったこと、冬休み中とはいえ日程が3連休だったこと、講師陣の研究テーマが提案性が高いものの、それだけにピンポイント的で一般化できるイメージにないこと、理由はいろいろある。ただ参加者が120名とか150名とかだった場合に、この雰囲気で会を進められたかどうか……、それは少々怪しい。今回のイベントはこの人数がよかったのかもしれない。もう少し少なければ、もっと双方向的ないいイベントになったかもしれない、との思いもある。

馬鹿げた飲み会も延々と続いた。何も生産せず、何も創造せず、延々と馬鹿話が続く。人間関係だけを紡ぐような飲み会である。しかし、飲み会のあるべき姿……ぼくは昔からそう思っている。二日連続でブレストの部屋を提供した平山くんが、日に日に元気を失っていくのが印象的だった。平嶋くんも常に最後まで付き合い、だんだん元気を失っていった。太田くんも同様。ただ細山くんだけは最後までテンションが下がらなかった。水戸も元気だった。

さて、ぼくは……。すべての講座が二日酔い。それも重い二日酔い。特に午前中の講座はぼろぼろといおうかめろめろといおうか(笑)。二日目の講座などは、講座開始3分前にトイレで吐いている始末。ふだんなら、PPTを朝確認し、内容を頭に入れてから臨むのだが、PCを入れた鞄をブレストで平山くんの部屋に忘れてきたためにそれもできない。というわけで、年末につくった講座内容を何も確認せずに本番へ。同じ講座が2回あったのだが、1回目は自分でも笑っちゃうくらいダメだった。何せ、次にどんなスライドが出てきて、次にどんなビデオがかかるかを、参加者と同じように、しゃべっているぼく自身がわからないのである(笑)。これでは講座にならない。2回目はさすがに内容がわかったので時間配分も意識的にすることができて、ある程度は修正できたが、久し振りに戸惑った講座だった。普通なら頭がまっしろなら緊張するのだろうが、なにせ二日酔いで緊張さえできないのである。こういう経験は初めてだった。二日連続で朝イチに講座を入れてくれた晋に感謝である。まあ、こうなることは初めからわかっていたのだけれど……。

青山新吾先生、中村健一先生、長瀬拓也先生、ともに素晴らしい講師だった。講師としてばかりでなく、素晴らしい人たちだった。それぞれが自分のいる場、自分の特性、自分の理想をしっかりと意識しながら、ちゃんと現実に向き合っている。そういう人たちだった。きっとまた、お会いする機会がある。そう確信した2日間でもあった。

ぼくは長瀬くんの悩める若手教師像にずいぶんと感銘を受けた。悩める教師若手像……というよりも、等身大を自覚するとか自己キャラクターを自覚するとか、そうした土台のうえでどう理想の授業像、学級経営像に近づけていくか……そういう若手・ベテランを問わず多くの教師が気づかない、気づけない地点に、29歳にして既に真摯に向き合っている。そういう若者だった。行動力も高いし、咀嚼力も高い。しかもそれをすぐに使える。1日目の模擬授業コメントでぼくが話した話を、彼は2日目の講座で既に的確な使い方をしていた。話の内容を真似たのではない。ちゃんとその構図を理解し、マップの中に位置づけ、関連する話の中でエピソードとして使っていたのである。これはやってみなければわからないことだが、そうそうできることではないのだ。すごいものである。

中村健ちゃんは、研究的にはというか実践的にはというか、ぼくとはまったく正反対のベクトルをもつ実践家である。そういう意味では、ぼくと彼は研究的には合わないだろうと思う。しかし、好きか嫌いかでいえば、ぼくはヤツが大いに気に入った。ヤツは徹底的におもしろい。徹底的に「ただおもしろい」のである。それがある種の潔さを感じさせる。でもきっと今回の千歳で、彼は「理屈も必要なのかもな」と感じて帰ったはずである。まあ、今回がきっかけにならなくても、年齢を重ねれば人は誰しも理屈を語り始める。もう少し時間が経って、彼が年齢を重ね、それ相応に理屈を語ろうとし始めたとき、一般的で何のおもしろみもない、説教じみた理屈を展開する人間にだけはなってほしくない。彼には彼のライフヒストリーに基づいた、彼にしか語れない理屈を生み出してほしい。そう切に願う。

青山さんは意外や意外、ぼくと同い年だった。おだやかな語り口の中に、ふと強調するフレーズに感じる熱さ。それがよく伝わる講座でありコメントだった。青山さんの立場を考えると、ぼくがネット上に感想を書くことが思いがけないご迷惑をかける可能性があるので、これ以上は控える。もう一度会って、二人でじっくりと語り合いたい、そういう人だった。日程を見ながら、もう一度、今度はブラッシュの特別支援グループ総出でお迎えしたい。必ず新しいものが生まれるだろう。

大会が終わって、最後のファシリテーションをやってくれた岡山さん夫妻と丸山くん、藤原、水戸と6人、すすきので飲んだ。次々に企画が出てきて、いや企画の芽が出てきて、おもしろい呑み会になった。この内容はたぶん春くらいには具体化してくるだろうと思う。2月5日の研究会をどう進めていくかということも明らかになった。ここでも、「虎の穴」にはまった〈あさはかな素敵さ〉をもった女の子が再び活躍することになった(笑)。藤原のひと言ひと言に彼の成長を感じさせる、そういう呑み会でもあった。ひと言でいうなら、とうとうぼくらが教員世界を相対化して見る、そういう視座を展開する萌芽の見られた呑み会になったように思う。ほろ酔い気分で代行タクシーの運転手さんとも会話のはずむ帰路だった。帰宅してメールチェックもせずにバタンキュー。

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コメント

ありがとうございます。
堀先生に出会えてうれしかったです。
今後一緒に関わる機会が増えて光栄です。
今後ともよろしくお願いします。

投稿: 長瀬 | 2011年1月10日 (月) 18時42分

こちらこそ。長瀬くんが中学校になっていたとはつゆ知らず……。楽しくなりそうです。今後ともよろしくお願いします。

投稿: 堀裕嗣 | 2011年1月10日 (月) 23時00分

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