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聖母たちのララバイ/思秋期

316yj1j2gl__sl500_aa300__2PRAHA」を聴いて、久し振りに岩崎宏美のアルバムに感動している。

本当に久し振りに、おそらくは「Never Again~許さない~」(1999年3月)以来、11年振りにこんなにも感動している。チェコフィルハーモニー管弦楽団とのコラボは、想像していた以上に成功している。ファンとしての欲目もあろうが、それを差し引いても完成度の高い作品に仕上がっている。

中でもすごいのがオーケストラ60人の大編制の「聖母たちのララバイ」と、弦楽四重奏の「思秋期」である。

「聖母たちのララバイ」は言うまでもなく、母性をテーマにしたスケールの大きな曲である。詩世界のみならず、大森敏之の曲も。それがこのアレンジで更なる度迫力でスケールアップ。四十代になって岩崎宏美の高音が出なくなり、高音をファルセットで誤魔化す感じがずーっといやだったのだが、オーケストラをバックにすると、それが気にならなくなる。気にならなくなるというよりも、それが相応しく感じられるようになる。

それにしても、今回、このアルバムで「聖母たちのララバイ」を聴きながら、改めてこの曲の詩世界に惹かれた。ぼくがこの曲を聴いていたのは中学3年生から高校1年生にかけてだったが、いま聴くと、山川啓介の歌詞の世界に当時とは異なる感慨深いものを感じる。この曲を23歳の岩崎宏美に歌わせたのには無理があったのではないか……そんな気さえする。

思秋期」も岩崎宏美ファンにとっては、かなりの名曲として認知されている曲である。いや、岩崎宏美ファンでなくても、この曲にだけは思い入れがあるという人を何人も知っている。この曲の詩は阿久悠。これまた、高校を卒業する十代の女性の心情をなぜこれほどまでに美しく描ききるのかと、感じてしまうような素晴らしい感性。19歳の岩崎宏美がこの曲に感動し、何度も涙を流しながらレコーディングを中断させてしまったと、のちに本人自身が回想しているくらいだ。

少々迷ったが、本当に買って良かったアルバムである。

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