こういうものが世の中にあり得たのか
前にも書いたような気がするが、ぼくは由紀さおりがとても好きである。彼女の歌声も、彼女のルックスも、彼女の独特のユーモアセンスも、昔から大好きである。
若い頃のスラリとした由紀さおりもいいけれど、五十路を過ぎてからのふくよかな、おばさん然とした由紀さおりも抜群に素敵だ。なにせあの仮面のような目がいい。彼女の目は二十代の時も六十代となったいまも、まったく変わっていない。そして何より、あの太い、低い個性的な歌唱力がたまらない。子ども心に、「由紀さおり」なんていう、どちらが苗字なのかどちらが名前なのかわからない芸名に惹かれて好きになったのを、いまでもよく覚えている。
もう何年のことなのかわからなくなってしまったが、安田祥子といっしょに「赤とんぼ」や「ふるさと」を引っ提げて二人で紅白に出場することも定番になった頃、ある年、二人の歌う「トルコ行進曲」に圧倒された。いまでこそ、普通のことのようにも思えるけれど、当時はこういうものがこの世の中にあり得たのか……と驚いたものである。
そういえば、由紀さおりのデビュー曲は「夜明けのスキャット」だったと想い出し、感慨深いものを覚えた記憶がある。
最近、あの歌唱力が衰えてきたのを感じるようになった。「トルコ行進曲」のスピードに口がついていかなくなってきている。より年長の安田祥子にはなおその傾向が見られる。とても淋しいけれど、哀しくはない。ただただ、ありがとうございましたと言いたい。
ぼくは由紀さおりや安田祥子が亡くなったら、本当に悲しむだろうなと感じている。
今日、原稿執筆がひと息ついて、なんとなくYouTubeをサーフィンしていて感じたことである。
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