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ファン心理は複雑なのだ

チリ落盤事故の救出作業は無事に終了。その映像には滅多に感動しないぼくも感じを覚えた。これまで彼らの地下での様子が映像化され報道されていただけに、数週間にわたってリアルタイムで応援してきた人たちが救出される瞬間の映像は間違いなく感動的だった。

マスコミは愛人が出迎え等々のゴシップを報道しているが、人の生命がかかっているこの手の問題に対して、そういうゴシップネタで遊ぶのは控えた方がいい。どう考えても落盤事故救出の問題と愛人問題とはまったく別の次元の問題である。彼らが愛人問題を取り上げられて然るべき「公人」とはいえない。

逆に、本来遊びから発祥したはずの、たかが野球。それなのに、ちょっと本格的に考えさせられてしまうのが、クライマックス・シリーズでのロッテの快進撃である。

最初に言っておくが、ぼくは昭和49年以来のロッテファンであり、ロッテのことだけを考えれば単純に嬉しい。セ・リーグは中日、パ・リーグはロッテというのがぼくの長年のひいきであり、日本シリーズが中日vsロッテなんてことになったら、ぼくにとっては涙が出るほど嬉しいことである。なにせ、ぼくがプロ野球を見始めた年、つまり昭和49年以来の対戦なのだから。

それでも、長年のプロ野球ファンとして、やはりぺナントレース3位のチームが日本シリーズに進出するというのはいかがなものかと思うのだ。

ペナントレースは交流戦を含め、144試合を戦って優勝チームが決まったのである。クライマックス・シリーズ第二ステージは最大でも6試合。ロッテは第一ステージを2試合で勝ち上がっているから、もしかしたら144試合の7ヶ月にわたる長い闘いの結果が、たった8試合の短期決戦で覆るかもしれないのだ。

確かに今年のパ・リーグは飛び抜けたチームがなく、3位ロッテとはいえ首位とは2.5ゲーム差ではある。それでも76勝63敗と75勝67敗の差というものはそんなに小さいものではあるまい。

もし仮に、飛び抜けて優勝したチームがあったとして、3位チームが首位から十数ゲーム離されていて、その3位チームがクライマックス・シリーズを勝ち上がったとしたら……多くのプロ野球ファンは納得できるのだろうか。いや、もっといえば、その3位チームのペナントレース結果が5割を切っていたとしてらどうだろうか。こういう可能性を考えさせるに充分な、そうした複雑な心境を抱いてしまうような展開に、いま、パ・リーグはなっているわけだ。

もちろんクライマックス・シリーズに利点は多くあることは確かである。消化試合が少なくなり、最後まで目が離せなくなった。最終的に敗れたとはいえ、今年の北海道の日ハムファンを見ていると、その感を強くする。9月の北海道は確かに日ハムの3位争いに沸いていた。

しかし、もしもこれでロッテが勝ち上がったとしたら、ロッテファンのぼくでさえどこか納得できないものを抱えながら日本シリーズを観戦することになるに違いない。ペナントレースの価値を下げることなく、クライマックス・シリーズのような盛り上がりをも獲得できる、そんなアイディアが何かないものだろうか。

ロッテファンのぼくがなぜ、こんな文章を書くかというと、こういう論理を一度表明しておけば、たとえロッテが日本シリーズに出場できなかったとしても、かくかくしかじかの論理で「いや、ファンでさえロッテが出るのはおこがましいと感じていたんだ。やっぱりソフトバンクが出てよかったんだよ。」と言い訳することができる。

ファン心理は複雑なのである。

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