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作業定着の原則

テスト監督に行ったとき、ちょっとだけイラッときたことはないでしょうか。

例えば、一番後ろの生徒が自分の列の答案用紙を集めてくる。集めてきてものを教卓の上にただ置いていく。すべての列がそうなので、列毎の答案用紙を出席番号にあわせて並べ直すのが自分の仕事になってしまう。

或いは、生徒たちが答案用紙を集めてくる。男女各々の出席番号最後の生徒が全員分を重ねて渡してくれる。名前が書いてあるかどうかを確認しようと答案用紙を順番に見てみると、所々出席番号順が乱れている箇所がある。時々逆さまを向いている答案用紙もある。この子たちは同じ向きで答案用紙を集めることもできないのか……。

もちろん激しい怒りは感じないのだけれど、ちょっとイラッとくる。担任はどういう指導をしているのか。そんなふうに感じたことはないでしょうか。

いえいえ、逆に考えてみましょう。果たしてあなたの学級は大丈夫でしょうか。同僚の先生方はあなたの学級の答案用紙の集め方に、ちょっとだけイラッときてはいないでしょうか。

小さなことのようですが、礼儀として指導したいことのひとつではあります。

これは次のように指導すれば、ほぼ完璧にできるようになります。しかも、一度できるようになれば、1年間、まず崩れるということがありません。

やり方は簡単です。「具体作業の原則」を使えばいいのです。

テスト前日の帰りの学活。生徒たちに配付するプリントが一枚くらいはあるはずです。何かの連絡プリントで構いません。要は表裏があり、こちら向きに見るという上下さえ決まっているプリントでありさえすればOKです。

まず生徒たちの座席を出席番号順に並べ直します。プリントを配付し、右上に学年・組・出席番号・氏名を書かせます。このプリントをテストと仮定して一度集めてみるのです。

一番後ろの生徒が自分の列の答案用紙を集めてくる。受け取った答案用紙は必ず上に重ねていく。その際、名前が書いてあるかどうかを確認させる。

男女それぞれの出席番号最後の生徒は各列の答案用紙の束を受け取り、出席番号順になるように重ねる。女子の出席番号最後の生徒が男子の答案用紙の束を受け取り、先生に渡す。先生は全員分の答案用紙があるかどうか、枚数を数えて確認する。

これだけの作業です。ものの2分とかかりません。できれば別のプリントを配付して、もう一度やってみるといいでしょう。まず間違いなくできるようになります。

また、実際のテストの1時間目は他の教師ではなく、学級担任が試験監督につくことにしましょう。そして生徒たちが昨日の練習どおりの作業ができているかどうかを確認するのです。私の経験ではまずもってたった一つのミスもないのが普通です。

この前日に二度目の練習をすること、そしてテスト本番の最初の試験監督に担任がついて確認すること、これが「作業定着の原則」です。

いくら「具体作業の原則」を用いて実際にやってみたとしても、一回きりの説明でそれが定着しないのでは何の意味もありません。「具体作業の原則」は定着させてこそ生きるのです。具体的な作業をしっかり教えようとする担任は多くいます。しかし、定着しているかどうかまで確認しようとする担任は滅多にいません。これを打開することが必要です。ちょっとした心がけ次第でできることなのですから。

「作業定着の原則」はテストの集め方なんていう小さなことばかりでなく、給食の配膳の仕方とか、掃除の仕方とか、机・椅子の並べ方とか、そうした日常の学校生活の根幹にかかわるすべてのことに応用できる普遍的な原則といえます。

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