全体指導の原則
新しい学級をもちます。すると、給食当番と掃除当番、そして日直、この三つは年度当初に指導しなければならない必須の指導事項となります。みなさんはこれらをどのように指導しているでしょうか。
新年度、何はともあれ日直の仕事を確認しなければなりません。朝学活前・帰り学活前にプリントを持ってきたり、朝学活や帰り学活の司会をしたり、授業のあと黒板を消したり、こうした小さいけれど大切な仕事をするのが日直だからです。
この日直の仕事内容を確認を、みなさんはプリントを読み上げるだけで指導してはいないでしょうか。そして、できてあたりまえ、できなければやり直し、などと厳しすぎる指導をしていないでしょうか。そもそも年度当初に日直にあたった生徒たちがちゃんと仕事ができないことに、学級担任であるあなたの責任はないでしょうか。
「日直は朝学活前、帰り学活前に職員室に行ってプリントを取ってきます。職員室の入り口をはいるとすぐ右側に学級棚がありますから、その○年○組のところに入っているプリントをすべて持ってきて下さい。」
こんな説明をしていませんか。
もちろん、この説明で八割の生徒は理解できるでしょうし、六割の生徒は指示されたとおりに行動できるでしょう。しかし、こういう当番制の仕事内容は八割や六割ではなく、十割の生徒に理解してもらい行動してもらわなくてはならない仕事です。とすれば、十割の生徒、つまり学級の生徒たち全員が不安なく取り組めるように説明してあげるのが学級担任としての責任とはいえないでしょうか。
生徒たちは「職員室の入り口をはいるとすぐ右側に学級棚があ」るということをわかっているのでしょうか。二、三年生ならば特に詳しい説明がなくてもわかるかもしれません。しかし、一年生はこの時期、ほとんどの生徒が職員室に行ったことさえないはずです。そうした状況の中で、この説明は少し乱暴だと言わざるを得ません。
ではどうすればいいのでしょうか。
それは実は簡単なことです。労を惜しまず、生徒たち全員を職員室に連れて行き、自分の学級の学級棚を確認すればよいのです。
こうしたことは靴箱の確認や各特別教室の確認ならば、どの学級でも行われているはずです。しかし、日直がプリントを取りに行く学級棚、黒板消しクリーナーの場所やその使い方、チョークが切れたときに補充するためのチョークのある場所、こうした小さいけれども日常の学校生活を送るうえでは必須の事柄については、なかなか具体的な確認がなされていないのが現実です。
だれもが知っていなければならないことは、常に全員に指導する。それも今日は今日の日直にだけ指導し、明日は明日の日直に指導すれば良いというような時間差をつくらない。最初に全員を連れて行って指導する。これを「全体指導の原則」といいます。
同じことが給食当番や掃除当番にもいえます。最初に給食当番の指導をするとき、一班に配膳の仕方を教えながらも、他の生徒たちが周りを囲んでみているという状態で指導を行う。そしてできればそれを、年度当初に班当番が一回りするまで一週間続ける。こうすれば、学級の生徒たち全員がメニューがご飯のとき、パンのとき、麺類のときのそれぞれを確認することができます。
掃除当番も同じです。ほうきの係は教室の前方、両側の角から力を入れて回転箒をかけ始めるとか、水ぶきの係はまず掃除用具箱のうえにあるバケツに半分くらい水をくんできて教室右前方の床に置くとか、モップの係はまずすべての教室の窓を開けて、回転箒をかけた箇所からモップをかけていくとか、こうした細かなことを生徒たち全員に説明・確認しながら当番生徒にやらせていくのです。当番生徒がうまくできない場合には、生徒たち全員の前で何がよくないのか、どうすればよくなるのかをしっかりと説明します。
こうした取り組み方を年度当初にしっかりと確認しておくことで、その後の一年間が見違えるように楽になります。不真面目にやっている生徒がいたとしても即座に全体の前で指導することができます。「みんな、こうやるんだったよね?」と全体に確認するだけで、学級の生徒たちみんなが同意してくれます。なにせすべて全員の前で確認しているわけですから。
「全体指導の原則」はその後の学級経営にもよい影響を与えるのです。
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