求刑を上回る判決
毎日新聞社によると、横浜地裁の裁判員裁判で求刑の懲役18年を上回る懲役20年の判決が出たらしい。いくら三審制で控訴審・上告審があるといっても、これがまかり通っていいのだろうか。
確かに被告は被害者を刃物で26回も刺して失血死させた。その意味では残酷な殺人事件ではある。また、公判では無表情で「記憶にない」を繰り返し、法廷での態度からは反省の色がまったくうかがえなかったとも言う。その結果、判決文を読んだ高橋裁判長は「無表情で人ごとのような法廷での態度から反省は全くうかがえない。求刑は軽すぎて受け入れがたい」と指摘したとも言う。
しかし、有期刑というものは被告を更正させる立場から与える刑である。更正が無理と判断されたり、あまりにも残酷な、主に複数の被害者を殺害したりした場合に際してこの国では死刑がある。それなのに、裁判員の評決が検察側の求刑を超えた刑期を決定するということがあってよいものだろうか。刑事裁判の意義が根本から覆らないだろうか。裁判員にそこまでの権限を与えていいものだろうか。
おそらくこの被告の法廷での態度は、だれが見ても不遜と思われるような態度だったのだろう。裁判員はそれを見ているのもいやになるような、そんな態度だったのだろう。それは間違いなかろうと、ぼくにも信じられる。しかし、だからといって、求刑以上の刑期という判決は少々感情論が過ぎないだろうか。
これは国民的な議論に発展させるべき案件である。
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